授乳期間中の「おっぱいケア」 助産師が教える【乳頭亀裂】【白斑】【しこり】【乳腺炎】などトラブル対策
産前産後の知っておきたい「おっぱいケア」 #2 ~授乳期間中編~ おっぱいマッサージをマスターしよう
2023.10.17
助産師:徳永 悦恵
出産を終え、授乳が始まると、妊娠中とはまた違うおっぱいトラブルが出てきます。
うちの助産院にも「産院を退院後、赤ちゃんに乳首をうまく吸わせることができない」、「乳首が痛くてどうしようもない」などのお悩みで駆け込んでくるママは大勢います。
産後のおっぱいトラブルが起きたら、まずは助産師に相談してください。それは、対処が早いほど、改善スピードが速くなるからです。
なかには、「乳腺炎で1週間以上も発熱し、胸にずっと激痛が……」というママさんがいらっしゃいます。自分で様子を見たい気持ちはわかりますが、とにかく我慢し続けないことが大切です。
そのほか、自分でいろいろと試しても、母乳が出ないというママも多くいます。そんなときも、自分を責めずにぜひ助産師に相談してください。
授乳中のトラブル
授乳中のおっぱいトラブルにも個人差がありますが、よく見受けられるトラブルをご紹介します。
【乳頭亀裂】
〈症状〉
乳首の先端や、根元の部分に裂けたような傷ができること。乳首や乳輪部の皮膚はデリケートであるうえに、赤ちゃんがおっぱいを力強く吸うことでダメージを受けてしまうことがあります。逆に乳首が硬い場合も原因になることが。
乳頭亀裂ができると、授乳時や、服に乳首の先端が擦れることで痛みが生じ、状態が悪化する場合は出血することもあります。
〈対処法〉
赤ちゃんの口に入っても安全な専用の保護クリームを乳首に塗って保湿したり、乳頭亀裂部分を赤ちゃんの口角にくるような吸わせ方をさせたりしましょう。
横抱きや、フットボール抱きで、乳頭亀裂部分が痛くない抱き方を見つけるのもおすすめです。激痛が走る場合は、搾乳して哺乳瓶であげるなど、授乳をお休みしましょう。乳頭保護器を使う手もありますが、傷の状態によっては悪化してしまう場合もあるので、その際は助産師に相談してみてください。
【白斑】
〈症状〉
乳首の先端にできる直径1~5㎜ほどの白い斑点。白斑ができると、授乳するときに針で刺されるような強い痛みを感じます。また、乳管が詰まって母乳が乳腺内にとどまるためにしこりができてしまうことも。水疱や血豆ができることもあります。
〈対処法〉
乳首をオイル湿布したり、湯船に浸かって乳首マッサージをしましょう。また、授乳姿勢と吸い方・吸わせ方の見直しが必要です。赤ちゃんにおっぱいを吸わせる角度を変え、乳管が詰まらないように気をつけたいところ。バランスの良い食事をとること、睡眠やリラックスする時間の確保も大切です。
【しこり】
〈症状〉
乳管閉塞や乳腺炎などのさまざまな原因から、授乳期のおっぱいにしこりができることがあります。乳管閉塞、つまり母乳による詰まりは、チクチクとした痛みや圧痛を伴う固いしこりになることも。
〈対処法〉
母乳を出すときに詰まりを解消すべく、ママ自身が片手でおっぱいのしこり部分を乳頭に向かって寄せる感じで授乳をしてみましょう。あくまでも、乳頭に向かって軽く押すような感じです。決して強くグリグリと押したり、圧迫したりしないように注意して。また、赤ちゃんにおっぱいを吸わせる角度を変えて授乳してみるのも有効です。それでも、しこりがなくならない場合は、医師の診察を受けましょう。
【乳腺炎】
〈症状〉
乳腺炎は乳腺に炎症が起きている状態。産後3ヵ月以内、とりわけ産後2~3週間で起こることが多いですが、授乳期間中ならいつでも起こる可能性があります。 おっぱいの熱感や痛み、腫れをはじめ、発熱や倦怠感といった風邪のような症状が出てきます。
〈対処法〉
乳腺炎になってしまった場合には、基本的には排乳するしかありません。排乳とは、赤ちゃんに飲んでもらう、搾乳をする、おっぱいマッサージを受ける、など。ただし、強い痛みが続く、発熱、おっぱいが赤く腫れている、乳首からの分泌物に血が混じっているなどの症状がある場合は、早めに医師に診てもらいましょう。