1話5分で読めて、楽しく47都道府県が学べる新感覚のミステリー短編集『日本一周ナゾトキ珍道中』(粟生こずえ・著)が好評発売中! この記事では書籍のなかから、栃木県が舞台のお話をご紹介。全国を放浪するキリさんとマッキーが泊まったホテルでは「走るミイラ男事件」が発生していた。ミイラ男の正体とは……?
マッキー
「なんか暗~い感じだよなぁ、このホテル。せっかく栃木にいるんだから、鬼怒川(きぬがわ)温泉の旅館とかに泊まりたかったね。」
マッキーはベッドにひっくり返った。
キリさん
「文句が多いなぁ。近場じゃここが一番安かったんだ。」
マッキー
「へっ、自称天才探偵ともあろうものがケチくさいねぇ。」
キリさん
「自称じゃなくて他称だ! だいたい、寝るだけの場所になんでそうこだわるのかわかんないなぁ。いざというときのために、節約するに越したことはないからな。」
キリさんは仕事がら一流ホテルや高級ブランド品などの知識はそこそこあるが、個人的にはまるで興味がない。
マッキー
「華やぎってのに飢えてんだよ。せめて寝る前に一杯やろうぜ。」
ふたりは1階のバーに向かった。