
「あらしのよるに」芽生えた友情が家族に 日本中が泣いた奇跡のストーリー まさかの20年ぶりに新展開
2025.03.15

まっくらな嵐の夜に出会った、オオカミのガブとヤギのメイ。お互いの正体を知らず友だちになり、「食うもの」と「食われるもの」という関係に葛藤しながら、友情を深めていきますが……。
『あらしのよるに』は、種族を超えた友情を描き、380万部を超える大ヒットを記録した絵本シリーズ。これまで、映画・ミュージカル・歌舞伎などさまざまな形で発表され、原作は刊行30周年を迎えます。
この日本中が泣いた名作に「20年ぶりの新作」が登場し、注目を集めています。刊行まもない3月14日(2025年)に、新作『新あらしのよるにシリーズ(1) あいことばはあらしのよるに』の記者発表会が行われました。
会見では、作者のきむらゆういちさん(文)、あべ弘士さん(絵)が登壇。また、出版記念パーティーには、歌舞伎役者の中村獅童さんが、長男・陽喜くん、次男・夏幹くんとともに登壇。絵本『あらしのよるに』の朗読を披露しました。
中村獅童さん絵本の朗読を熱演

新作歌舞伎『あらしのよるに』で、ガブ役を熱演した中村獅童さん。
作品との出会いと新作歌舞伎『あらしのよるに』誕生の背景について
「作品との出会いは2003年。NHK Eテレの番組「てれび絵本」での朗読がきっかけ」
「亡き母と『あらしのよるに』の話しをしたとき、「歌舞伎の演目にぴったりじゃないか」と言われた」
と明かしました。
また、2015年に初めて歌舞伎として舞台化されたことを振り返りつつ、2024年12月の歌舞伎座での上演では、長男・陽喜くん、次男・夏幹くんが出演したことにも触れました。

「あらしのよるに」を自分のライフワークだと語る中村獅童さん。
「2015年の当時は、自分の作った新作歌舞伎に、子どもたちが出るとは、夢にも思っていませんでした」
「今の子どもたちが大人になって、その孫、その次まで残るくらいの名作だと僕は思っています」
スピーチののち、中村さんはシリーズ1作目の絵本『あらしのよるに』を朗読。オオカミのガブとヤギのメイ、2匹の出会いの物語を熱演しました。
今の世界に必要なのは「友情を信じる」こと

新シリーズとして発表された『新あらしのよるにシリーズ(1) あいことばはあらしのよるに』では、新しい家族を得て、より愛情を深めるガブとメイが描かれます。
文章を手がけたきむらゆういちさん、絵を手がけたあべ弘士さんは記者発表会で、シリーズ30周年をふりかえりつつ、新作にこめた思いや制作の背景を披露しました。

きむらゆういちさんは、「あらしのよるに」全7巻ののち、新シリーズをスタートしたことについて
「続編は絶対に書かないぞ、と心に決めていた」「でも、世界の状況や、今の自分の生活を見ると、新しく描きたいものが見つかった」
と話し、新作を発表した背景には、「多様な家族のかたち」への気づきや、争いが絶えない世界への想いがあることを明かしました。
また、「人種が違っていても、肌の色が違っていても、偉い人とそうでない人でも、金持ちでも貧乏でも、友情が生まれるかもしれない」と、物語に託した希望を伝えました。

あべ弘士さんは、シリーズ開始当初の30年前を振り返り、「当時の新鮮な気持ちを大事にして立ち戻りたい、という気持ちで新シリーズに向かっています」と話しました。
シリーズを重ねるごとにタッチが変化してきたことにも触れ、新作では「原点に戻って、優しい、明るい絵」を目指したと、制作面での意気込みを語りました。
また、旭山動物園での飼育員時代や絵本作家になってからのエピソードを披露しつつ、作品の中でえがいたさまざまな動物や植物について、地元である北海道の自然との関係を語りました。
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名作「あらしのよるに」の新シリーズとなる「新あらしのよるにシリーズ」は、このたび発表された1作目『あいことばはあらしのよるに』に続く2作目も予定されていることが発表されました。
新しい家族がふえたガブとメイの物語に、これからも注目していきたい作品です。
熱演「読み聞かせ」! 「あらしのよるに」イベント写真
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