次の日から、大勢のお客さんがやってきて、お店は大繁盛!
「ふう~、忙しい忙しい!」
鮭、ワカメ、牛タン、笹かまぼこ、仙台味噌、それからホヤ。せっせとおむすびを握ります。
その評判を聞きつけ、なんとテレビ局が取材にやってきました! お客さんたちが、SNSで「むすび丸のおむすび屋さん、おいしい!」と書いて話題になったのです。テレビ局の人たちは、むすび丸の作るご当地おむすびを食べて、「噂にたがわぬおいしさですね!」とにっこり。そして、こんなお願いをしました。
「実は、今度『日本一はどれだ!? おむすび選手権大会』という番組をやります。ぜひ、むすび丸さんも出演してください!」
なんと、日本一おいしいおむすびを決める大会を開くというのです。出演するのは、一流ホテルのシェフ、人気の料理研究家、高級レストランの料理人と、料理のプロばかり。
「えええ~! どど、どうしよう」
「お願いします! たくさんの人に、宮城のおいしいものを知ってもらうチャンスです! ぜひ!」
テレビ局の人たちにぐいぐい迫られ、むすび丸は考えます。宮城のおいしいものを、宮城のことを、もっと知ってもらえるなら……。
「……ようし、ボク、参加します!」
こうして大会に向けて、新しいおむすびを研究することになりました。
おむすび選手権大会のメニュー開発!
「うーん、うーん。何がいいかなあ……」
またまたむすび丸の頭がななめになっています。
「あれれ? どうしたの?」
「また頭がななめになってるよー」
悩んでいると、みやこちゃんともりおくんがやってきました。
「実はね、『日本一はどれだ!? おむすび選手権大会』に出ることになったんだ」
「え! すごーい!」
「でも、大会は、新米の出る秋に開かれるんだ。ホヤの旬が過ぎちゃうから、違うメニューを考えなくちゃいけなくて」
「旬」とは、魚や野菜がいちばんおいしくて、たくさんとれる季節のこと。ホヤの旬は初夏から夏です。季節はそろそろ秋。ホヤのいちばんおいしい季節は、また来年まで待たなければなりません。
「そっかあ。むすび丸は、どういうおむすびがいいの?」
みやこちゃんの質問に、むすび丸は迷いなく答えます。
「全国の人に宮城のことを知ってもらえて、好きになってもらえるもの!」
おいしいものはたくさんあるけれど、むすび丸の思いを伝えることができるもの。みやこちゃんともりおくんの頭もななめになります。
「……あ! 秋の給食には、アレが出るよね。ぼく、アレがすごく好き!」
「秋の給食? ああ、アレね! 私も大好き!」
何かひらめいたようです。
「宮城の秋といえばアレ! アレで勝負だよ、むすび丸!」
みやこちゃんともりおくんが教えてくれたアレとは? むすび丸、いったいどんなおむすびを作るのでしょう?
それから、むすび丸は海沿いの町に何度も足を運びました。
「アレ」には、それぞれの家庭に自慢のレシピがあるそうです。
「うちは昔ながらの味だからね」
「うちの作り方は手間はかかるけどおいしいよ」
お母さん、おばあちゃん、人気の食堂、漁師さん。むすび丸は「おむすびにぴったりな味」を求めて、いろんな人にレシピを聞いて回りました。
「……できた!」
研究を重ね、ついに“勝負おむすび”を完成させました。きゅっと三角に握ったおむすびは、地味~な茶色。でも、中には宮城のおいしさがたっぷりとつまっています。
「……このおむすびなら、きっとボクの思いを伝えられる!」
深まる秋の海に、むすび丸は「絶対優勝してみせるぞ!」と叫びました。
むすび丸は一体どんなおむすびを作ったのかな? 第2回は3月6日更新!
杜の都(もりのみやこ)
仙台市は「杜の都」と言われているよ。「杜」は樹木の茂る場所という意味。江戸時代の昔から、緑に包まれた町だった仙台。現在も、屋敷林、広瀬川の河畔、青葉山の緑、青葉通や定禅寺通の街路樹が美しい。
宮城の食
笹かまぼこ
笹の葉の形をしたかまぼこで、県民のソウルフード。
牛タン
仙台名物といえば牛タン。人気は麦飯、野菜の浅漬け、テールスープがセットの牛タン定食!
ずんだ
ずんだは枝豆をすりつぶして作る緑色の餡。「ずんだ餅」が有名だよ。
©manbo_photo/イメージマート
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宮城・仙台をひらいた戦国武将の物語





































もえぎ 桃
青森県生まれ、仙台市在住。千葉大学卒業。 2020年、青い鳥文庫小説賞一般部門で金賞を受賞。東北児童文芸サークル「みちのわ」メンバー。作品に「東北6つの物語」シリーズ(国土社)、「百華死亡遊戯」(角川富士見L文庫)、「トモダチデスゲーム」シリーズ、「小説ブルーロック 戦いの前、僕らは。」シリーズ、(ともに講談社)などがある。
青森県生まれ、仙台市在住。千葉大学卒業。 2020年、青い鳥文庫小説賞一般部門で金賞を受賞。東北児童文芸サークル「みちのわ」メンバー。作品に「東北6つの物語」シリーズ(国土社)、「百華死亡遊戯」(角川富士見L文庫)、「トモダチデスゲーム」シリーズ、「小説ブルーロック 戦いの前、僕らは。」シリーズ、(ともに講談社)などがある。