「日本のムーミン」多様性を描いて 10周年を迎える「はりねずみのルーチカ」シリーズが生まれるまで
作家・かんのゆうこさんインタビューはりねずみやもぐらや妖精たちの物語「はりねずみのルーチカ」の魅力
2023.07.15
ー「はりねずみのルーチカ」シリーズがうまれた生まれたきっかけはなんですか?
作家のかんのゆうこさんに聞きました。
2011年に東日本大震災が起きたとき、私の心は、悲しみと不安でいっぱいになり、すっかり元気がなくなってしまいました。私と同じように、毎日悲しみに暮れ、不安な気持ちで過ごしている人たちの心に、小さな灯をともすような物語が書けたらいいな……という思いから、ルーチカの物語を書きはじめたんです。
──物語を書くときに、決めていることはありますか?
3つのことを決めています。
1 ルーチカたちに、武器を使わせたり、暴力でけがをさせたり、命をうばうようなことをさせないこと。
2 登場人物たちが、性格的にけしてやりそうもないことを、書き手や、物語展開の都合でやらせたりしないこと。
3 登場人物ひとりひとりの存在を尊重(大切にして敬うこと)し、彼らが私に語ってくれる物語に耳をかたむけること。
──読者からの思い出深い感想がありましたら、教えてください
読者カードの項目の一つに、好きなキャラクターと、その子を好きな理由を書く欄があります。ルーチカを好きだと言ってくれる子どもたちの、好きな理由のほとんどが、「ルーチカの心がやさしいところ」と書いてくれるのを見ると、いつも胸がいっぱいになります。
ー読者の皆様へメッセージをお願いします。
「はりねずみのルーチカ」を書きはじめて、今年で10年。たくさんの読者のみなさんがルーチカたちを愛してくださったおかげで、ここまで書き続けることができました。
フェリエの国は、どこにあるのかといえば、本当はみなさんの心の中にあります。世界で一番近い場所だから、いつでも、どんなときでも、いくつになっても、会おうと思えばいつでも会うことができるのです。
これからもみなさんの心のなかに、ルーチカたちが生き続けますように。
「優しい気持ち」になれるのが物語の魅力
「はりねずみのルーチカ」にでてくるルーチカやいきものたちは、こころやさしいものたちばかりです。読むと、穏やかな気持ちになります。作家のかんのゆうこさんがおっしゃっているように、心に明るい「灯」がともります。
学校や家庭、職場でちょっといやなことがあったとき、元気になりたいときに手にとってみたらいかがでしょうか。シリーズ13作のなかから、ぜひ気になるものがありましたらご覧ください。