「マンガ禁止」家庭出身の元図鑑MOVE編集者が仕掛ける合法学習マンガとは

担当編集と漫画家が語る『学習マンガ・理科 ウサウサ! 生きものレポート』制作秘話・前編

ライター:山本 奈緒子

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11月に新発売された『学習マンガ・理科 ウサウサ! 生きものレポート』。昨今、学習マンガの勢いは増す一方で、次々と新たなシリーズが誕生していますが、こちらはそんな中でも珍しいギャグ系の一冊。

『学習マンガ・理科 ウサウサ! 生きものレポート』

地球侵略のためにやってきた宇宙人の“ウサウサ”が、さまざまな生き物の奇妙な生態に遭遇していつも泣きながら逃げ帰る羽目に……というもの。これが、「ウサウサがかわいい!♡」「生きものについてもっと知りたくなった!!」などと、早くも小学生たちの間で大人気となっているのです。

このかわいくて面白くてしかも学べるという、一挙両得どころか何得もの学習マンガはいかにして誕生したのか? そこには担当編集者のちょっぴり切ない子ども時代と、“ウサウサ”を生んだ生きもの大好き漫画家・まきいわ山さんとの奇跡の出会いがあったのでした!

元図鑑編集者が仕掛ける異色の“合法”マンガ

“ウサウサ”は、地球を侵略しようと月からやってきたバニバニー人。出会った生きものをスキャンして、そっくり同じ姿にコピーできるという能力を持っています。早速、プレーリードッグやアナホリフクロウなどをコピーし、侵略を開始するものの、お尻の穴の匂いを嗅げと要求されたり、秘密基地をウンコまみれにされたり。なぜかちっとも上手くいきません……!

第1話「オジロプレーリードッグ」より

このように、学習マンガなのにほとんどがギャグという『学習マンガ・理科 ウサウサ! 生きものレポート』。担当しているのは、入社5年目の若手編集者・杉原舞衣さんです。なぜ、ギャグ系の学習マンガを作りたいと思ったのでしょう?

杉原:「実は私は、小学生のころは『マンガ禁止!』という厳しい家庭に育ったんです。だから親に隠れて、必死でこっそり読んでいたのですが、出版社に入社して、昨今の学習マンガの充実ぶりを目の当たりにして。『今の小学生は堂々と、こんなに面白いマンガが読めるのか!』と衝撃を受けたんです」

そこで、「子どもが“合法的”に読めるマンガをもっと増やしたい!」と思ったという杉原さん。もともと図鑑の編集部にいたこともあって、その知識を生かせないかと考えたそうです。

杉原:「子ども時代はあまり図鑑を読んでいなかったのですが、図鑑の編集部に配属され、さまざまな生きものの生態を知ったとき、その面白さに魅了されたんです。アゴが飛び出るサメとか、2メートルも毒液を飛ばすヘビとか。あり得なさすぎて、いつも『これってもはやギャグでは!?』と感じていました。そこで、生きものの生態をマンガにしたら絶対に面白いはず! と思いついたんです」

アゴが飛び出るサメ「ミツクリザメ」が表紙の『EX MOVE深海の生きもの』

杉原:「当たり前ですが、いくらマンガになっていても、子どもは面白くなければ学習マンガを読んでくれませんし、何より記憶に残らない。だからギャグ系の学習マンガを作りたいと思い、“図書館で合法的に読めるマンガを描いてくれる漫画家さん”を探し始めたのです」

漫画家探し…決め手は上品すぎるウ●コ!?

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