ハイハイは発達に影響? 卒乳はいつ? 「1歳児の発達」を専門家が解説

【オンラインセミナーレポート】榊原洋一先生「1歳児の発達を知ろう」#3 | Q&A後編

小児科医/お茶の水女子大学名誉教授:榊原 洋一

セミナーには多くの保護者から質問が寄せられました。  写真:アフロ

講談社コクリコCLUB主催のウェブセミナー「正しく知って安心! 『1歳児の発達』」。

子ども発達研究の第一人者であり、現在も小児科医として発達障害児の診察を続けている榊原洋一先生に、1歳児の発達について詳しくお話しいただきました。

レポート第3回では、第2回(Q1〜Q6)に続き、参加者から寄せられた7つの質問が登場します。「じっと食べない」「偏食」「動画の見せすぎ」「早期教育」「ハイハイ」「卒乳」「発達の悩み」、1歳児の子育てを取り巻くさまざまなテーマや悩みに対する、榊原先生の回答はどうのようなものだったのでしょうか。

1歳児を持つパパママ必見の内容です。

(全3回の3回目/#1#2を読む)

榊原洋一先生プロフィール

榊原洋一(さかきはら・よういち) 1951年東京生まれ。小児科医。東京大学医学部卒、お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授を経て、同名誉教授。チャイルドリサーチネット所長。小児科学、発達神経学、国際医療協力、育児学。発達障害研究の第一人者。著書多数。監修を手がけた年齢別知育絵本「えほん百科」シリーズは大ベストセラーに。現在でも、子どもの発達に関する診察、診断、診療を行っている。

Q7 遊びながらでないとご飯を食べない

じっとイスに座って食べず、すぐに脱出して遊びながらでないとごはんを食べてくれません。どのくらいの月齢で注意したらよいでしょうか?

A7 厳しい注意ではなく、食事が楽しくなる工夫を

食事は生存のために必要な基本的行為です。

親御さんにしてみれば、栄養を考えて用意した食事をちゃんと食べてほしいという気持ちがあります。

子どもにしてみれば、食べるかどうかは2つの要素で決まります。1つは空腹感がすごくあること。そして、もう1つは食べる空間や雰囲気が楽しいものであることです。

大人のように短時間に必要なカロリーを摂取しようなんて気はありませんから、すごくお腹が減っていない限り食べません。それほどお腹が減っていないなら、楽しく過ごしたいと思って遊び始めてしまう。それは無理もないことなんです。

せっかく作った食事を食べてもらえず、遊んで投げちゃった。親としては悲しいし、腹も立つかもしれません。ですが、1歳児はそんなものだと受け入れてください。

くれぐれも「何しているの!」と叱ったり、食事を強要するのはやめてください。食事が楽しくない、嫌なことだという印象が焼き付く恐れがあります。

日本の保育園では、食事を一斉にとる「共食」が広く採用されています。他の子と一緒に食べると、食べている子の真似をして食べる可能性が高まると言われています。

一方、Q2で登場したロッツィ方式は(#2を読む)、食事でも脚光を浴びました。保育園での食事は一斉にするのではなく、お腹が減って何か食べたいという態度を示した子に食事を与えるという方法を取ったのです。この食事の方法はとてもよい発達をもたらすことがわかったのです。

大切なのはお子さん本人が食べたい時にしっかり食べさせること。そして、できるだけ食事が楽しい時間であると体感させてあげることです。食事をあげたら静かにぱっぱっと食べるなんてことは、そもそも期待しないほうがいいですよ。

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