ハイハイは発達に影響? 卒乳はいつ? 「1歳児の発達」を専門家が解説
【オンラインセミナーレポート】榊原洋一先生「1歳児の発達を知ろう」#3 | Q&A後編
2022.12.29
小児科医/お茶の水女子大学名誉教授:榊原 洋一
Q8 好きなものしか食べない
好きなものしか食べません。どうすればいいですか?
A8 あまり気にしなくていい
私も基本的に好きなものしか食べません。そうやって生きてきました。
1日30品目の食材を摂るのがいいとか、三角食べがいいとか、巷ではいろんなことが言われていますが、極端な偏食でなければあまりナーバスになる必要はないと思います。
発達障害の子には、たとえば白米しか食べないというケースもあります。それは、明らかに栄養的な問題が生じるので解決する必要があります。
でも、食べてもらえる食材で栄養バランスがとれるようなら、あまり嫌がるものを食べさせようとはがんばらず、好きなものを優先して出してもいいと思います。これも前の質問での答えと同様に、食事が楽しいものになるように配慮すること。品目の多さよりも、そのことのほうが大事だと思います。
Q9 テレビや動画を見せすぎではないか心配です
家事の時間やおやつの時間など、テレビやDVDを1日4時間くらい見せています。見せすぎでしょうか? 成長に悪影響はありますか?
A9 ルールを決めて制限することも大事
この手の悩みで、2点の重要なことを理解していただきたいです。
まず1点目は、1歳児の行動は親がコントロールできるということです。中学生くらいになると、本人がやろうと思ったら夜通しゲームすることもできてしまって、親がそれを制限することはむずかしくなります。
でも、1歳児にはタブレットを渡さない、テレビを点けないことで制限できます。この場合、癇癪を起こしても、ダメなものはダメと教えることが大切です。それにより社会性の発達を促すことができます。
2点目は、時間。1歳児はお昼寝も含めて平均1日13〜14時間眠ります。起きている10時間ほどの時間のうち、3〜4回ある食事や入浴、おむつ交換などのサービス時間、お散歩の時間などを引いていくと、まったく自由になる時間は、わずか2時間ほどしかありません。その2時間全部を1種類の活動に充てるのはいかがなものかと思います。
1歳児の1年間はさまざまな経験をしながら発達していく大切な期間です。その中のせっかく自由になる時間をじっと座って画面を見ているだけというのは、もったいないですよね。
動画を観ていると大人しくしてくれるからと頼りたくなるのもわかりますが、成長のためにはなるべくいろんな経験をさせてあげたほうがいいので、有益な過ごし方ができるように意識する必要があります。
Q1(#2を読む)でお答えしたように、遊びでは親はあえて何もしないほうがいい。「今日はこのおもちゃで遊んでね」と渡すだけでいいと思います。おやつの時間も動画を見ながら食べるよりは、積極的に話しかけてあげるほうが愛着関係を強化する機会にもなるのでおすすめです。
動画を観たいと駄々をこねるかもしれません。禁止する必要はありませんが、制限は大切です。「1日これだけ」とか「時間がきたらおしまい」といったルールを決めて教えていくことは、社会性を身につけていくためにもとても大切なことです。