「子どもは自分でチョイスできない」元Jリーガー・鈴木啓太さんが語る、親が子どもに与えるべき「最大のギフト」とは?

子どもたちの健康で明るい未来のために 親に見直してほしいこと

スポーツを子どもにやらせたいなら、まずは「親がやっている姿」を見せてあげる

子どもの健康のためにもスポーツをやらせたい、という親御さんをたくさん見かけますが、「親がスポーツを楽しそうにやっている姿を見せてあげてますか?」と思うことがあります。これは別に難しいことではないのです。親子で一緒に体操したり、踊ったりすることでも、子どもは絶対に楽しんでくれます。最初から競技となると、適性もあって、うまくできずに「嫌だ」となることも。まずは一緒にやるというところからスタートすることが大事です。

これは私自身でも経験したことなのです。中学2年生の娘に、「最近、運動不足だから走ったほうがいいよ」と言っていたのですが、そう言う私が運動している姿を最近の彼女は見ていなかったのです。このままでは良くないなと思い、1ヵ月半前から走り始めたのですが、ついに昨日初めて娘が公園で一緒に走ってくれました。

走った後には「この靴は重い」「じゃあ良い靴を買おうか」と別のほうに興味が向いたりしていました。でも、そこなんですよね。こういうきっかけをどう作るかというのが大事なのです。本人にとって、「なぜ走るか」というのは必ずある。例えば肌が綺麗になりたいとか、理想の体型を目指したいとか。親はその「目的」を知っているかどうか、というのも大切になっていきます。

子どもを「観察する」ことが、子どもの「楽しい」を広げる

先ほどの長女の話でもそうですが、スポーツをさせたいと考えているなら、よく観察することも大切です。子どもは楽しかったらなんでもやりますから。あとは目的があるかないか。つまり、その目的が“楽しい”という話なのか、“うまくなりたい”ということなのか。“ご褒美がもらえるから”などの違いがあっても、基本的には“楽しい”というのがベースになるはずです。本人も周りもどうやったらその楽しさを見つけてあげられるか、というのが必要になってくると思います。

スポーツはゲーム性や、友達との関係、指導者の性格や教え方も関係してきます。私の場合は、初めてのサッカークラブで「楽しくない」と思ったら、私はサッカー選手になっていません。実際のところは指導者がとても良く、「めちゃくちゃ面白い」とハートを摑まれたからサッカーを続けられました。

周りの人たちの声かけや、親が子どもをどういうふうに見るのかというのも、とても大事です。私が初めてゴールにボールを蹴ったときに何をしたかと言うと、母を見ました。母が手を叩いて「やったね」って喜んでくれるのを見て、「あ、お母さんをこれだけ喜ばせることができるんだ」と、うれしくなったのです。

目的とは単純にカチっと決まるわけではなく、いろんな要素がある。自分の大切なこととか、好きな人が喜んでくれるとか。複合的に合わさって、太い夢になると思うのです。だから初めてのサッカークラブで「この先生面白いなあ、楽しいな」……もしかしたら、これだけではダメだったのかもしれません。子どもが何に興味を持っているのかをよく観察して、楽しいことを追及していけるようサポートしてあげてください。

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