子どもの友だちづくりが「ゲゲゲの鬼太郎」で上手に? 傑作「たくろう火」の5大ヒント
ゲゲゲの鬼太郎のテレビアニメ絵本から「友情」を学ぶ
2023.09.09
フリーエディター:鈴木 俊行(EBI-PUB)
「ゲゲゲの鬼太郎」は、時代や世相を取り入れて何度も再アニメ化されている歴史ある名作。お子さん、ご両親、そしておじいちゃん、おばあちゃんと、3世代に渡って共通の話題にできる、ほかにない作品です。
実は「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズは面白いだけでなく、ためになります!
ゲゲゲの鬼太郎のテレビアニメ絵本から「友情」をテーマに選んだおはなしには、子どもがどうやったら友だちができるかヒントが満載です!
3世代にわたり話題にできる鬼太郎のおはなし
なぜ今、鬼太郎? そう思う方がいるかもしれません……。
『ゲゲゲの鬼太郎』は、1968年に初めてテレビアニメ化されて以来、時代や世相を取り入れて何度も再アニメ化されている名作中の名作です。お子さん、親御さん、そしておじいちゃん、おばあちゃんと、親子3世代に渡って共通の話題にできる、ほかにない作品でもあります。
『ゲゲゲの鬼太郎』にはさまざまな年代や立場の異なるキャラクターが登場し、妖怪や人間の関わり、友情、助け合いなどのテーマが描かれています。親子3世代でいっしょに見て、これらの価値観や教訓について話し合うきっかけにできる、家族全体が成長する機会にできる良い作品なのです。
アニメを絵本にした『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たくろう火 雨ふり小僧 小豆あらい 小豆はかり 小豆ばばあ』は、特に「友情」をテーマに描いたおはなしが集められています。このおはなしを読むことで楽しみや学びを共有し、家族の絆を深め、お子さんの「気づき」へとつなげてほしいと思います。
友だちづくりが上手にできない子が増えてきた?
昔の子どもたちは公園や広場でいっしょに遊んだりして、自然と友だちを作ることができていました。でも最近は、ゲームやスマホなど1人遊びができるツールが増え、対面でのコミュニケーションが減っているなど、時代の変化にともなって人間関係の土台が作りづらくなっているようです。
友だち作りは、得意な子も苦手な子もいます。
人とコミュニケーションを取るのが上手で、誰とでもワイワイ仲良くなれればいいのですが、受け身で引っ込み思案だったり、集団でいるよりも1人で過ごすことが好きだったり、少ない人数でも深い関係を好んだり……と、いろいろな子がいます。
ただし、学校やおけいこの場など、毎日の生活のなかで子ども同士が接する機会があった場合に、すぐに友だちになれないとしてもお子さんが自分に自信をもち、「他者との違いを受け入れる力」を育むことはとても大切なこと。
今回ご紹介する、『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たくろう火 雨ふり小僧 小豆あらい 小豆はかり 小豆ばばあ』に収録されている『ひとりぼっちのたくろう火』は、まさにそんなメッセージを感動的に描いた作品です。
『ひとりぼっちのたくろう火』は、こんなおはなし
さわったものはなんでも燃えてしまう炎の妖怪「たくろう火」には、人間はおろか妖怪にも友だちがいません。そんなたくろう火にねずみ男が近づき、人間のために働こうともちかけます。ひとりぼっちがつらかったたくろう火は、ねずみ男がプロデュースする遊園地のアトラクションで働くことになります。
夜の間、絶対に部屋から出ないように命じられていたたくろう火ですが、ある晩、退屈に耐えきれず外に出てしまいます。そこで不思議なロボット「ピグ」と出会い、たくろう火とピグはすぐに意気投合し、友情を深めていきますが……。
(※東映アニメーション・ゲゲゲの鬼太郎サイト/あらすじ第21話 炎上!を一部加筆)
鬼太郎のおはなしには、いろいろなヒントがある!
[1]大切なことは内面の価値
炎の妖怪であるたくろう火が、自分の内面に価値があることを学ぶストーリーでもあります。子どもたちにとっても、外見や外部の評価だけでなく、自分の内面や個性を大切にすることの重要性が伝わるでしょう。
[2]友情と協力の大切さ
たくろう火はピグといっしょにがんばる姿勢を見せます。子どもたちには努力することの大切さはもちろん、友情や協力がどれだけパワーにつながる要素になるのかを学ぶ機会となるでしょう。
[3]自分を信じる力
たくろう火は自分の特殊な存在を最初は否定していますが、だんだん自分を受け入れ、自信を持つようになります。子どもたちにとっても、自分の強みや個性を信じることの重要性が示されるかもしれません。
[4]自分と異なる存在を受け入れる
作品ではたくろう火が価値観の違いに直面しますが、最終的にはそれを受け入れて新たな友情につなげます。子どもたちには、自分や他人の違いを理解することや、差別や偏見に対して勇気を持つことが大切だというメッセージになるでしょう。
[5]お互いの感情の共有とコミュニケーション
異なる属性をもつ妖怪同士が友だちになるためには、協力と理解が重要な要素です。自分の気持ちをはっきりと伝え、お互いの考えを共有するコミュニケーションの大切さに気づくきっかけになるはずです。
「問いかけ」と「共感」を上手に使うと、お子さんが自分で考えだす!
「たくろう火は、このとき何を考えていたのかな?」
「ピグは、どうしてこんな行動をしたのかな?」
「こんなことを言われたら、自分ならどうする?」
友だち同士の関係を軸に展開するストーリーをいっしょに読みながら、お子さんがどんな考えをもっているか、問いかけてみましょう。
ストーリーについて話しあうとき、お子さんの言ったことや考えたことに対してポイントとなるのは「共感」です。
たとえば、遊園地のアトラクションの運営に手を貸しているたくろう火にたいし、まったく礼を言わないねずみ男の場面があったときです。
「お礼を言えないのはダメだよね」ではなく、「お礼を言うのって気持ちいいよね……」とし、つけ加えて「お礼をしたほうも、されたほうも笑顔になるよね~」と前向きな反応をすることで、自分から感謝を伝えることの大切さが伝えられます。
「鬼太郎なら、今どう思っているかな?」とか、「ねこ娘はどういう気持ちで、こんなことを言ったのかな?」など、いろいろな場面に注目しながら「他人の気持ち」を想像する練習がたくさんできます。
親子3代、世代を超えて話題を共有するために
『ゲゲゲの鬼太郎』に盛り込まれた、妖怪や人間の関わり、友情、助け合いなどのテーマは、時代や世相を超えて共有できる大切なもの。そして、3世代にわたって楽しめる本を読むことは、お爺ちゃんお婆ちゃんたち家族と笑いや感動を共有する家族の大切な時間がうまれます。
しかも、お子さんといっしょに『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たくろう火 雨ふり小僧 小豆あらい 小豆はかり 小豆ばばあ』を読むことで、もしかしたらお子さんの成長につながるヒントをつかめるかもしれません。
『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たくろう火 雨ふり小僧 小豆あらい 小豆はかり 小豆ばばあ』
アニメシリーズのなかでも、小学生から大人まで「ストーリーが特に面白い!」と大好評だった第6期シリーズから、人気の作品を厳選して書き下ろした「おはなし」をまとめたアニメ絵本。『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たくろう火 雨ふり小僧 小豆あらい 小豆はかり 小豆ばばあ』には、「ひとりぼっちのたくろう火」と「小豆がつなぐ三人組」の2話が収録。
●「ひとりぼっちのたくろう火」近づくものを燃やしてしまう、アツいたくろう火には友達がいない。はじめて友達ができたと思ったのに、その友達は本当の姿をみせてくれない。
●「小豆がつなぐ三人組」小豆をつかったお菓子をもっと食べてもらいたいと、三人組ユーチューバ―になった小豆あらいたち。
みんなの目的は一つなのに、方向性がかわって、ケンカになってしまう。
●全ページにアニメーションの絵がふんだんに掲載されています。
すべての漢字にルビがふられるので、小さなお子さんでも楽しく読むことができます。対象年齢は小学1年生以上です。
●迷惑ユーチューバーや、ブラック企業問題など、社会問題をあつかった深い物語を楽しめるだけなく、「見えている世界がすべてじゃない」というテーマにそった妖怪の多様性に触れられるシリーズです。
●それぞれのお話の巻末には〈妖怪ずかん〉を掲載し、妖怪の能力について知ることができます。
●シリーズ刊行予定(すべて2023年)
『おはなしゲゲゲの鬼太郎 のびあがり・見上げ入道』発売中!
『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たんたん坊・山じじい』発売中!
『おはなしゲゲゲの鬼太郎 すねこすり・まくら返し・ゆめくりのすずの少女』発売中!
『おはなしゲゲゲの鬼太郎 たくろう火・雨ふり小僧・小豆あらい 小豆はかり 小豆ばばあ』発売中!
『おはなしゲゲゲの鬼太郎 ぶるぶる・貧乏神・座敷わらし』2023年11月刊行予定
鈴木 俊行(EBI-PUB)
NIKEエア・マックス、Gショックなど、90年代後半に盛り上がったストリートファッション誌編集長を経て独立。乗り物、生き物、買い物、揚げ物、お調子者……大好きな「モノ」がつく情報を集めて世の中に広めるため、日々奔走中。
NIKEエア・マックス、Gショックなど、90年代後半に盛り上がったストリートファッション誌編集長を経て独立。乗り物、生き物、買い物、揚げ物、お調子者……大好きな「モノ」がつく情報を集めて世の中に広めるため、日々奔走中。