絵本がひもとく「算数がつらい理由」
勉強が苦手なわけではないのに、時間のイメージができなかったり、小銭の支払いで混乱したりと、日常のささいな場面でつまずく我が子。
水木さんは、親として「どう助ければいいのか」と模索する日々が続いたと振り返ります。
デザイン事務所を構え、書籍デザインにも携わってきた水木さんは、自身の経験を活かして「算数障害」をテーマにした絵本の制作に着手します。
自ら出版社を立ち上げ、児童文学作家の濱野京子さん、美術作家のユウコアリサさん、編集者の池田春子さんと共に、みんなで悩みながら、今年2025年に、絵本『すうじのないまち』を刊行したのです。
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主人公は、「さんすうなんて、大きらい!」と感じている女の子・レイナ。
おばあちゃんが焼いてくれた20個のクッキーを家族4人で仲良く食べようとしますが、レイナはうまく分けられず、リビングを飛び出してしまいます。
すると、レイナの部屋へやってきたおばあちゃんが昔話を語りだして……。
水木さんが絵本という表現方法にこだわった理由は、親しみやすさにあります。
「絵本なら、親子で一緒に楽しみながら読むことができます。当事者の子どもが読めば、『ぼくもレイナみたいに感じることがあるよ』と自分の気持ちや困難さを説明する助けにもなるかもしれません」
「算数障害」とはどんな状態か
「筆算の位がそろわない」
「計算の手順が覚えられない」
「計算は得意なのに、文章題になると急に解けなくなる」
……こうした姿に心当たりがある家庭も多いのではないでしょうか。
『すうじのないまち』には、レイナを主人公にした物語に加え、算数障害の専門家である熊谷恵子先生(筑波大学名誉教授)の解説が掲載されています。






















































































