「眼の運動機能」4つの苦手
【1】眼球の運動(追従性)
1つめは眼球の運動(追従性)の苦手さです。学校の授業で音読をする、板書の書き写しをするときに、眼で見て文章を追っていきます。この「文章を追う」という動作が眼の追従運動です。
普段あまり意識していないかもしれませんが、人は眼球をたえず動かしており、眼の動きだけでものを捉えているのです。しかし不器用な子は、眼の動きだけでものを追えず、頭や首を動かしてものを見ようとしています。
お子さんの動作をふり返ってみてください。もしかしたらものを見る際に、頭や首も一緒に動かしていませんか?
【2】両眼のチームワーク
2つめは両眼のチームワークの苦手さです。チームワークとは、「眼で見つめる力」と「眼が動作する力」が協力し合うこと。
ものを見て存在を認識し、何かしらの行動に移すためには、どちらか一つの力だけでは行動が完結しません。
授業中、板書を書き写しているシーンを思い浮かべてみてください。
まず最初に眼で認識した一定量の文章をノートに書き写します。そして続きの文章を書くために再び黒板を見て書き写す。2回の書き写しの際に、“遠くから近く”、“遠くから近く”という眼の往復運動が発生します。
北出先生は「2つの力がスムーズにチームワークしていないと、読み取ることはできてもうまく書き写せないというズレが生まれます。結果困りごとを抱えたまま生活することになるのです」と話します。
書き写しという動作一つにも、眼の運動機能が大きく影響しているのですね。
【3】眼と体の協応
3つめは眼と体の協応の苦手さです。ボール遊びなどをするとき、眼でボールを追いかけている動作に注目してみましょう。
ボールをキャッチする際、眼でボールの動きを認識した後、脳が手足などの体の各部位に「キャッチして!」と指令を出しています。これを「眼と体の協応」といいます。
「眼を運動させる力が弱いお子さんは、ボールが自分に近づいてくるときに、うまく眼で追えていない。さらに『キャッチして!』という脳からの指令がうまく体に伝わっていないためキャッチできないのです」(北出先生)
【4】視空間認知
4つめは、視空間認知の苦手さです。視空間認知とは、眼でとらえた映像を形や図、空間として正しく認識する動きのことです。
この力が十分に機能していないと、眼眼で見たものの上下左右や、大きさ、距離、長さなどを理解することが難しくなります。
「眼と体の協応」でも出た〈ボールをキャッチする動作〉で考えてみましょう。視空間認知の力が弱い場合、自分とボールとの距離感がわからない。結果、適切なタイミングでキャッチできず、空を摑んでしまったり、ボールを落としてしまったり、ということが起こり得ます。
そのほか、家の中で家具や段差につまずく、食べ物をこぼしてしまう、自転車に乗るとき上手に幅寄せできないなどの動作が頻発するなら、空間認知に対する苦手さがあるのかもしれません。

























































































