【お金と時間】父親ボーナス・母親ペナルティ…共働きで「子育て・仕事」の両立どうすべき?【専門家が解説】

共働き時代のソリューション #1 (3/4) 1ページ目に戻る

髙崎 順子

妊娠出産の多い35歳以上になると、女性の正社員の割合は4割まで下がる(写真:アフロ)
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今も日本では、「正社員の所得が上がらない」「非正規雇用が多い」という特徴が、続いています。

総務省の2024年の調査(※)では、働く女性の半分以上が非正規雇用でした。(※総務省「労働力調査」)

20代後半では女性たちの6割が正規雇用ですが、妊娠出産の多い35歳以上になると、女性の正規雇用の割合は4割まで下がります。

正社員とそれ以外の働き方では、平均月収が10万円近くも変わるので(正社員が約31万円、それ以外が約22万円)、女性が子育てのために働き方を変える影響は、家計にも大きく現れます。

“母親ペナルティ”は残念ながら、令和の今にも、続いています。

子どもができると収入が増える「父親ボーナス」

その一方で、男性は子どもができても、収入が下がる“父親ペナルティ”はありませんでした。

むしろその逆で、子どもができると収入が上がる「父親ボーナス(プレミアム)」が起こっていたことが、経済学では分かっています。

父親になることで周囲からの期待が増えたり、所得を増やそうとさらに残業をする。そのおかげで昇進や昇給の機会が与えられて、結果的に父親の給与が上がる現象です。

「なぜ父親ボーナスが起こるのか? 父親は子育てのために、働く時間を減らさないから。結果的に、働き方の調整をするのは妊娠出産をする妻側に偏りがちです」(大石先生)

今の日本では、働く女性が結婚·出産に積極的になれない「負のインセンティブ」ができてしまっている──そう大石先生は説明します。

「負のインセンティブ」対策

「負のインセンティブ」とは、それをやると損をするからやりたくない、と思わせてしまうもの。今の日本では、女性たちが「結婚・出産をすると損」と感じてしまう仕組みがある、と言えます。

実際に日本では、非婚化・少子高齢化が、年々深刻になっています。40年間で作られてしまった「負のインセンティブ」を、減らす対策が取られています。

その一つが、父親の育休を取りやすくすること。2000年代からいくつかの改正が進められ、最近では2022年に、「父親の産休」とも言われる「産後パパ育休」制度が導入されました。

「“母親ペナルティ”を解消するために、父親育休はとても重要です」大石先生は、そう強調します。

その理由は、『育休を取るのはいつも女性』となってしまうと、企業が女性を雇いづらくなるから。

これまでも実際、女性の正社員雇用が減ったり、そのために女性社員の賃金がなかなか上がらなかったり、企業が女性社員へのスキルアップに投資してくれない……などが起こっています。

父親が育休を取らないとどうなる?

そして父親が育休を取らない社会では、母親だけではなく、父親にもネガティブな影響が出ています。

まず、無制限に働ける男性ばかりが残った職場では、「残業が当たり前」の長時間労働が広がってしまいます。

その結果、父親が家庭にいる時間がさらに削られる。母親はワンオペで家事育児に追われ、夫婦両方が睡眠不足で疲れきる。

加えて、家にいられない父親と母親、子どもの家族関係が悪くなってしまう……という、悪循環に陥ってしまいます。

これは熟年の離婚や、離婚後の高齢者の孤立、孤独死の問題にもつながってきます。

一方、育児に積極的に関わる父親は、マルチタスク力やマネジメント力が上がる、と、仕事の面でもポジティブな影響があると言われています。

父親側が育休という形で、「子どもを持つ時間的コスト」をシェアすることで、女性だけではなく、男性の生き方を改善する効果も期待できるのです。

”母親ペナルティ”を減らすには?
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