「好きなことがない」子どもなんていない! テレビで話題の塾講師が教える「子どもの好奇心の火のつけ方」「親にできること」

【今こそ学力観のアップデートをするとき】好奇心の種をまく探究学舎の学び#1 子どもが安心して学べる環境を

子どもの「やりたい」も「辞めたい」も尊重

プライベートでは4人のお子さんを持つ森田氏は、自身のご家庭でも、子どもの好きなことを親子で楽しんでいると話します。

「僕は、子どもが何かやりたいと言ってきたら、まずは『どうぞ、やりましょう』と勧めます。そして、自分も一緒にやってみます。実際に一番下の息子は、同居している祖母に影響を受けて、テニスをやりたいと言い始めました。『じゃあ、やる?』という感じで最初は家族でテニスをしてみて、習いたいというのでスクールに通い始めました。

そのほかにも、水泳、ダンス、バイオリンなど、それぞれの子がやってみたいと言ったことをまずは試して、おもしろいと感じたなら習いに行くという流れですね。

子どもが好きなことは、僕もできるだけ一緒に楽しむ時間をつくっています。もちろん、仕事で忙しくて子どもが誘ってきても付き合えないこともありますから、できる範囲でという感じにはなりますが」(森田氏)

親が一緒に楽しむことで、子どものやる気もアップします。  写真:アフロ

また、それらを続けるかどうかも本人の意志を大切にしています。

子どもが辞めたいというときは必ず理由があるので、それを聞いた上で、本人の希望を尊重しますね。

3番目の娘は幼稚園のころから水泳を習っていて、泳ぎがすごく好きだったんです。スイミングスクールでは小学生で選手クラスになって、さらに強化選手にも選ばれました。スクールにも期待されていたんですが、ある日突然、辞めると言い出しました。

よく話を聞いたら、『水泳は好きだけど、タイムばかり気にして泳ぐのは好きではない』と。大人からしたら、これからなのに……と考えるかもしれませんが、本人の気持ちが一番大切なので、スイミングスクールは辞めました。でも、泳ぐことは今も続けています。競技選手になるだけが水泳を習う目的ではないでしょう。将来ダイビングをするかもしれないですし、今後いろいろなところに生かされると思っています。

2番目で中学生の息子は、バスケット部のキャプテンで、そのほかにラグビーやテニスもやっていたんです。さらに、行きたい高校があるので塾にも通いたい……となったとき、全部は難しいからテニスはいったん休むよ、と伝えてくれました。

子どもは自分なりにいろいろと考えているんですよね。だから、親は価値観を押しつけるのではなく、子どもを尊重すればいいのかなと思っています。そういう意味でも、子どもが自分の気持ちや考えを話せる環境が、やはりすごく大切ですね」(森田氏)

子どもが自走するためには「きっかけ」が必要

子どもの意思を尊重し、好きなことに寄り添ってサポートすることができれば、その後は自然と親の手を離れていくと森田氏は話します。

こうした環境をつくることができれば、子どもは安心して自分の好きなことに集中し、没頭していきます。

「子どもが大人の伴走を必要とするのは、ある一定の期間だけです。その時期に、先ほども触れたように、子どもの好きなことに関心を持って対話し、親子で一緒に楽しんで盛り上がるなど、好きなことに集中できる環境を整えれば、やがて自走していきます。探究学舎はそのための『きっかけ』を提供しているんです」(森田氏)

森田氏が冒頭に述べたように、どんな子どもにも好きなことや興味分野はありますが、それがはっきりと自覚できていない、まだ深まっていないことも多いといいます。探究学舎はこうした子どもたちを対象に、興味や関心の「種」となるさまざまなテーマの講座を展開し、好奇心や探究心の芽を育んでいます。

実際に探究学舎の授業を受けた子どもたちは、「おもしろい」「もっと知りたい、やってみたい」という気持ちが高まり、学ぶ楽しさを実感。その後は自ら探究していく子も数多くいます。

第2回は、子どもたちが夢中になる探究学舎のオンライン授業に、ライターが子どもと一緒に参加。その驚くべき内容と子どもの変化をレポートします。

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【森田太郎 プロフィール】
1977年生まれ。東京都出身。幼いころから遊びが大好きで、小学校入学後も宿題・勉強はほとんどせずに過ごす。ユーゴスラビア内戦を機に民族問題に関心を持ち、大学へ進学。ボスニア・ヘルツェゴビナにたびたび渡航し、1999年にサッカーによる民族融和を目指した論文で『秋野豊賞』を受賞。2000年にはNGO「サラエヴォ・フットボール・プロジェクト」を設立し、平和構築活動に従事。その後、東京都小学校教諭として13年勤務したのちに、2019年より探究学舎講師に。2021年からは三鷹市内の小学校で非常勤講師も務めている。著書に『サッカーが越えた民族の壁──サラエヴォに灯る希望の光(明石書店)』。

取材・文 川崎ちづる

【好奇心の種をまく探究学舎の学び】の連載は、全5回。
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※公開日までリンク無効

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かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。