孤独な小学生時代 お魚王子・鈴木香里武を救った外の世界と大人たち

岸壁幼魚採集家・鈴木香里武さんインタビュー#2【子ども時代編】

岸壁幼魚採集家:鈴木 香里武

休日になると、親子3人で海へ。昼間は海で魚を捕り、夜は森に昆虫を探しに行くのがお気に入りのコースだったといいます。  写真提供:鈴木香里武

自分を認めてくれる場所があれば安心できる

──親からすると、子どもには「自分らしさを大切にしてほしい」と思う一方、周りと一緒じゃないと不安を感じたり、人並みであることに安心したりもします。香里武さんのご両親は、いかがでしたか?

香里武さん 両親は、そういうタイプではなかったですね。ただ、奇をてらったり、人と違うことを狙うのではなく、「自然と好きになったのなら、周りと違ってもいいんじゃない?」という感覚でしょうか。

僕はたまたま魚でしたが、周りの友達と同じようにゲームにハマっていたら、それはそれで見守ってくれたと思います。

学校になじめなかったとき、母から「ゲームを買ってあげようか?」と聞かれたこともあるのですが、「いらない」と答えました。無理してなじんでも、いつか疲れちゃいますからね。

──子どもの世界で「自分らしさ」を貫くのは、強さと勇気も必要かもしれませんね。

香里武さん たしかに子どもたち、特に小学生は、学校で過ごす時間が1日の大半ですから、周りと違うことに恐怖を感じることは絶対にあると思います。

僕も小学5年生のときがまさにそうで、クラスの中で自分の存在なんてないに等しいと感じていました。そういった恐怖や孤独感を取り除いてあげるのは、親や周りの大人の役割なのかもしれないです。

僕の場合は、学校の外に認めてくれる師匠がたくさんいたので、“自分”というものを保つことができました。

学校がすべてじゃない。学校にいる自分は、いろいろな自分の中の1ピースに過ぎないのだと思えたら、安心できるし、自分を認めてあげられるはずです。

親御さんにはぜひ、お子さんをいろいろなところへ連れていって、たくさんの人に接する機会を与えてあげてほしいです。

人と違うことを追求していると“唯一無二”になれます。そうして自分のアイデンティティが強固になれば、おのずと自信がつくのではないでしょうか。

小学5年生のとき、クラスで魚を飼うことになり、周りから頼られることで少しずつ自信を付けたという香里武さん。「魚を飼ったのは、僕を気にかけてくださった担任の先生の発案でした。ありがたかったですね」  撮影:嶋田礼奈(講談社写真部)

第3回は、鈴木香里武さんのお仕事観について伺います。

取材・文/星野早百合

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すずき かりぶ

鈴木 香里武

岸壁幼魚採集家

1992年3月3日生まれ、うお座。岸壁幼魚採集家、株式会社カリブ・コラボレーション代表取締役社長。 子どものころから魚に親しみ、学習院大学大学院で観賞魚の印象や癒やし効果を研究した後、現在は北里大学大学院で稚魚の生活史を研究。メディアやイベントへの出演、執筆など、海や魚の魅力を伝える活動をしながら、2022年7月、静岡県・清水町に世界初の「幼魚水族館」をオープンし、館長を務める。 『岸壁採集!漁港で出会える幼魚たち』(ジャムハウス)をはじめ、著書も多数。 ●カリブ・コラボレーション  ●Twitter @KaribuSuzuki ●Instagram karibu_suzuki ●幼魚水族館 

1992年3月3日生まれ、うお座。岸壁幼魚採集家、株式会社カリブ・コラボレーション代表取締役社長。 子どものころから魚に親しみ、学習院大学大学院で観賞魚の印象や癒やし効果を研究した後、現在は北里大学大学院で稚魚の生活史を研究。メディアやイベントへの出演、執筆など、海や魚の魅力を伝える活動をしながら、2022年7月、静岡県・清水町に世界初の「幼魚水族館」をオープンし、館長を務める。 『岸壁採集!漁港で出会える幼魚たち』(ジャムハウス)をはじめ、著書も多数。 ●カリブ・コラボレーション  ●Twitter @KaribuSuzuki ●Instagram karibu_suzuki ●幼魚水族館 

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。