【専門家監修】「え、こんなに変わるの!?」子連れ美術館がぐっと楽しくなる5つのコツ

親も子も無理なく安心して自分なりの「美術鑑賞」を楽しむために

海外キャラクター編集チーム

わが子がちゃんと感想を言わなかったらどうする?

ポイント⑤感想がゴールではない

最後に気をつけたいのは、「子どもからの感想を期待しすぎること」だといいます。美術館へ行ったあと、「どんな感想を言ってくれるかな?」と子どもに期待してしまう親も多いかもしれません。しかし、小牟田さんはこう話します。

「子どもがその場で反応を示さないこともあります。言葉にならなくても、心の中で何かを感じていれば、それがいつか形になることも。言葉にしない自由を認め、焦らないことが大切です」

「Museum Start あいうえの」のプログラムでも、積極的に話すお子さんもいれば、しばらく黙っているお子さんもいるのだそうです。

「でも、“いつでも話していいよ”という雰囲気さえあれば、次の展示に移動してから“さっきの作品ってさ……”と話し始める子もいます。翌日や1週間後、ひょっとしたら1年後のふとしたときに思い出して言葉にすることだってあります。子どもそれぞれ、考えを言語化するための時間が違うだけなんです」

また、ついやってしまいがちな、「その場ですぐに感想を言わせよう」と急かすのも逆効果だそう。

「手元にある言葉だけで“きれい”“かわいい”と言わせてしまうのはもったいない。その子が素直に感じたことを表現するためにはもっと違う言葉があるかもしれないのに、焦らせてしまうと、何も考えずに“すごい”“かっこいい”といった無難な言葉しか使わなくなってしまうんです」

感想が出なくても大丈夫、と小牟田さんは言います。「“よくわからない”“わからないけど、なんか好き”という気持ちだって立派な反応です。そもそも、美術館は“わからないこと”に出会う場所でもありますから」

絵本での美術館賞も、美術館への関心につながる

『さがしえほん こわい浮世絵 おばけやしき』を手に語る小牟田さん
『さがしえほん こわい浮世絵 おばけやしき』を手に語る小牟田さん

「アートへの入り口として、絵本を活用するのもおすすめです」と小牟田さん。

近所に子どもと行ける美術館がなかったり、外出が難しかったりする場合は、美術品が登場する絵本を使えば、家のなかでも親子で鑑賞体験を楽しめます。

「たとえば、この『さがしえほん こわい浮世絵 おばけやしき』。ページをめくると、江戸時代の実際に存在する美術品(浮世絵)がたくさん登場します。絵本ならくり返し見られるので、毎回新しい発見に出会えます。ひとりでじっくり眺めたり、誰かと一緒に見たりと、何度も新しい楽しみ方ができるのもいいところですね。

絵本で気になった作品があれば、“じゃあ今度は本物の浮世絵を見に行ってみようか”と、美術館へ足を運ぶきっかけにもなります。絵本から始まる親子の会話や行動が、実際のアート体験につながるのも魅力です」

小牟田さんのお話を通して、子どもとのアート鑑賞への不安が少しずつなくなってきた方も多いでしょう。さらにハードルを下げるなら、まずは絵本から始めてみてはいかがでしょうか。

「私はこの絵が好きだな」「このポーズおもしろいね」──。 そんなふうに、素直に感じたことを親子で伝え合うところからで大丈夫。自然と、美術館への一歩が広がっていくはずです。

◆『さがしえほん こわい浮世絵 おばけやしき』

『さがしえほん こわい浮世絵 おばけやしき』

『さがしえほん こわい浮世絵 おばけやしき』
定価:1870円(税込)
A4サイズ(たて297mm×よこ210mm)
フルカラー上製本・32ページ
5歳ごろから大人まで
講談社刊

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海外キャラクター編集チーム

講談社 海外キャラクター編集チーム。 ディズニーのゴールド絵本や書籍、東京ディズニーリゾートガイドブックを中心にジブリなど「おもしろくてタメになる」書籍を刊行中! Twitter : @KODANSHA_dish Instagram : @kaigai.character_kodansha

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