子どもにバレエを習わせる 何歳からが良い? 年齢帯別の注意点など解説

年齢よりも子どもの個性を尊重することが重要な理由

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子どもの習い事の中でも人気が高いバレエ。体をしなやかに鍛え、整った姿勢を身につけられる身体的なメリットのほか、音感、優雅な所作・品性、自己表現力が育つなどプラスとなるメリットが多いといわれています。

ですが、バレエを習わせたいと考えるお父さん・お母さんの心配ごとのひとつが、「何歳から始めれば良いのか」。この記事では、バレエを習わせるのは何歳からが適正か、習い始めに気をつけたいことを解説します。

子どもの成長や個性はそれぞれです。「正解」はお子さんの数だけあります。パパママの子育てのヒントとしてお役立てください。

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バレエを習い始める適正年齢は

バレエにはクラシックバレエとモダンバレエがあります。

バレエと聞いてイメージする華やかな衣装やトウシューズはクラシックバレエのものです。モダンバレエは現代的で自由な振付、音楽、衣装で踊ります。クラシックバレエのほうが子どもの習い事としてクラスも多く、人気も高くなっています。

クラシックバレエ、モダンバレエのどちらも身体の柔軟性が必要なので、身体が柔らかい幼いころから始めるイメージが強いのですね。一般的には何歳ごろからが適正なのでしょうか。

バレエを習い始めるのは一般的には3歳~8歳が多い

一般的に、バレエを始めるのに良いとされているのは、3歳から8歳ごろです。

実際に始めるのが特に多い年齢は、3歳から5歳です。幼少のクラスが3歳児のクラスからという教室が多いこともあり、この年齢で始められるご家庭が多くなっています。

また、早期に始めることで、ゴールデンエイジ/プレ・ゴールデンエイジを活用できる、というのも理由のひとつです。

ゴールデンエイジとは、9歳から12歳ごろの間に訪れる「運動機能が著しく発達する期間」のことです。アメリカの医学者であるスキャモン氏が「発達・発育曲線」を発表し、「神経機能は5歳ごろまでに約80%、12歳ごろにはほぼ100%形成される」と提唱したことをもとに考えられています。

ゴールデンエイジは一生に一度のみと言われており、その前の期間に当たる3歳から8歳のプレ・ゴールデンエイジも含め、いろいろな運動・動作をする経験が大切とされています。

バレエでは、柔軟性が必要です。筋肉の著しい発達を迎える前からのレッスンで、柔軟性を高めていくことが可能な年齢から始めることが、望ましいとされています。

以上のように、お子さんの身体的な発達との調整から、本格的に取り組むことを考えた場合は、3歳から8歳ごろが適当と考えられます。

【参考】科学的エビデンスに基づく「スポーツの価値」の普及の在り方に関する委員会:「令和2年日本学術会議 科学的エビデンスを主体としたスポーツの在り方」

【参考】筑波大学准教授 山口香氏:「これからの時代に求められる教育 体育・保健体育が果たすべき役割」

【参考】松浦かがりバレエアカデミー 黒岩美友氏・日本女子体育大学教授 佐々木万丈氏共著:「クラシックバレエへの取り組みにより獲得される心理社会的スキルと目標指向性の関係」

0~2歳児は受け入れできない教室も

「身体能力へのアプローチよりも、音感、芸術性といった感性の教育を優先したい」
「音感・リズム感を鍛えるために、できるだけ早くお子さんにレッスンを受けさせたい」という人もいます。

しかし、0~2歳児の受け入れがない教室もありますので、まず、受け入れ可能な年齢とクラス、教室の指導指針と育成計画などを確認することが必要です。

教室によっては、身体能力、集中力、コミュニケーションの面で、「3歳未満の子どもにバレエのレッスンは難しい」と考えるところもあります。教室の説明会などでレッスンをする先生のお考えも、確認しておくと良いでしょう。

バレエを始める年齢帯別の注意点について

バレエを始める年齢によって、ご家庭での注意点が変わってきます。
 1.未就学児:楽しさから継続性を育む
 2.小学校低学年:周囲と比べずに自分の成長を見つめる
 3.小学校高学年:目的意識と家族のサポートが成長の鍵
 4.中学生以上:「何のために」と練習量のコントロールがポイント

1.未就学児:楽しさから継続性を育む

多くのバレエ教室では、小さな子どものクラスは、音楽に合わせて体を動かし、音楽と合わせて体を動かす楽しさや、みんなと一緒に動きを合わせることの面白さからレッスンを始めます。

レッスンの様子をみていると、みんなと一緒に楽しそうに受けている子どももいれば、1人違うところを向いていたり、他の子どもと違うことを始めている子どもがいたり、統制が取れていない場合もあります。

しかし、3歳くらいの子どもは、まだ会話でのコミュニケーションも集中力の維持も難しい年齢です。子ども全員がレッスンに集中することのほうが珍しいのが現実です。音に触れ、集団で体を動かすことからバレエの基礎となる体づくりと周囲との関わりを作ることが始まっていますから、心配する必要はありません。

大切なのは、楽しいから習い事を続ける、という流れを作ることです。

レッスンでみんなと一緒に、なんとなく音楽に合わせて体を動かしているうちに、体の動かし方を覚え、集中力や音感などが育っていきますので、子どもの成長を焦らずに見守っていきましょう。

また、慌ててバレエ教室に通わせるよりも、バレエ教室に通う準備として、音楽と合わせて体を動かすことの楽しさを子どもに感じてもらうためにリトミックなどに通うのも良いでしょう。

2.小学校低学年:周囲と比べずに自分の成長を見つめる

小学校の低学年になると、ある程度の社会性も身につき、周囲と合わせたレッスンも可能になってきます。
とはいえ、低学年の間は、同じ学年でも4月生まれの子どもと3月生まれの子どもでは、心も体も成長の差があります。

また、この時期は自分と周囲との違い、できること、できないことの差を子ども自身が感じ取ってしまう時期でもあるため、レッスン内容でできないことがあった場合、やる気を失ってしまう可能性があります。

成長速度や環境により、上達のペースが一人ひとり違うことをご家庭では説明してあげると良いでしょう。また、できたことに対しては、お父さん・お母さんも一緒に喜び、できなかったことについては、心に寄り添って励ましてあげましょう。

お子さんが低学年のうちは、どうしても気になって、お父さん・お母さんも教えたくなってしまうと思います。周囲が先生ばかりになってしまうと子どもは萎縮してしまいます。レッスンのアドバイスは教室の先生にお任せして、お父さんとお母さんは、お子さんの気持ちに寄り添うほうを優先しましょう。

そして、バレエというとトウシューズですが、骨格・筋力がしっかりとしてくるまでは、履かずにレッスンするのが普通です。

成長・発達の段階で見ると、未就学児から小学生期は筋肉・骨格の成長よりも他の機能(脳・神経系)の成長が著しい期間です。そのため、まだ骨が柔らかく、ある程度の固さになるまでは、外的刺激の影響を受けて変形しやすくなります。

トウシューズに憧れて始める子どもも多くいますが、履き始めの時期は、体の成長と経験豊富な先生の判断にお任せしましょう。

【参考】慶應保健研究 徳村光昭氏:「子どもの成長発達段階を考えたスポーツ指導」

3.小学校高学年:目的意識と家族のサポートが成長の鍵

「8歳を超えてからお子さんがバレエに興味を持った場合、遅すぎるだろうか?」と心配の声もあがりそうですが、答えは「ノー」です。

ただ、この年齢でバレエに興味を持つお子さんは、「憧れの踊り手」や「こうなりたい」という明確な目標を持っていることが多く、習う価値は十分にあります。

多くのバレエダンサーが憧れる、熊川哲也氏も習い始めたのは10歳からです。お子さんの目的意識の強さ、バレエへの興味により、ご家族での話し合いの上で決めることも良いでしょう。

しかし、8歳以上のお子さんの場合、教室に通い始めのころは、周囲は3歳~5歳より始めたお子さんが多いため、レベルの違いにお子さんが傷ついてしまう可能性はあります。ここは、ご家族の精神面でのサポートが必要です。

4.中学生以上:「何のために」と練習量のコントロールがポイント

先にも触れたとおり、「バレエは◯歳までに始めなければならない」ということはありません。したがって、「子どもが始めたい」という意志があれば問題はありません。

しかし、プロのバレエダンサーを目指すとなると、難しいのが現実です。子どもが目的とするものを教室の先生ともよく話し合った上で決めるのが良いでしょう。

中学生になると体の成長や変化も大きくなり、体に負担をかけすぎないように配慮することも大切です。部活で新体操部やダンス部に所属していて、バレエで表現力や身体を鍛えたい、という場合は、練習量が多くならないこと、怪我の対策などを考えてあげる必要があります。

年齢よりも子どもの個性を尊重することが重要

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バレエを始める年齢よりも大切なのは、お子さんの意志と個性を尊重することです。

未就学児、特に3歳前後の子どもの場合は、親から離れてレッスンを受けることに、大きな不安を感じてしまうことも考えられます。大きな音や、レッスンフロアで人が踊る振動でびっくりしてしまい、怖がることもあるでしょう。

こういったものを不安・恐怖に感じることなく、子どもが喜んでレッスンに向かうかどうかで、バレエを習い始める判断をしたほうが良いでしょう。

また、バレエを始める動機の一つに、親が子どものころに習いたかった、親が子どもに習わせたいと思った、というものがあります。

子どもの習い事の選択に親の判断と教育方針は必要ですが、親の願望を押し付けることがないことも大切です。習い事によって得られるものに「自主性」もあります。

お子さんの自主性を大切にしつつ、親の希望を伝えることは問題ありません。親子で希望するものが合えば、習い事も家族の楽しみになりますね。

入会時期について

1年のうちで入会に適した時期はあるのでしょうか。

4月

新年度が始まる4月は、バレエ教室も新規の生徒さんが多く、お子さんも環境に入りやすい時期になります。この時期に向けて、体験レッスンも多く企画されますので、お子さんと一緒にいろいろな教室を回ってみても良いでしょう。

発表会後

多くのバレエ教室では定期的に発表会があります。この発表会をきっかけにバレエを始めるケースは珍しくありません。普段の練習の成果を試すとともに、晴れやかな舞台で衣装を着て踊ることを楽しみにする生徒さんが多いイベントです。

できれば入室を考えている教室の発表会に家族で参加すると良いでしょう。練習の成果のイメージと舞台で踊ることの楽しい雰囲気を親子で感じ取れれば、レッスンへの目的意識も大きく変わってきます。

最後に

華やかなステージと優雅な動きに大人も子どもも惹きつけられるバレエ。子どもの習い事としては、品性・表現力・集中力・体力・筋力・音感・礼儀など多くのものを身につけられる素敵な習い事です。

今回は、習い事としてバレエを始める時期と、始める時期による注意点を解説しました。子どもの心と体を健やかに成長させるだけではなく、家族で楽しめる趣味として考えてみてはいかがでしょうか。

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