大人気「探究学舎」のリアル授業体験で気づいた 子どもの好奇心に火をつける「環境」と「親に必要なこと」

【今こそ学力観のアップデートをするとき】好奇心の種をまく探究学舎の学び#4 受講後の子どもの変化

親は定量的な「効果」を求めてはダメ

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連載第2回第3回では、探究学舎の授業に子どもたちが夢中になり、積極的に参加する姿を紹介してきました。実際、ライターの娘も楽しそうに受講していましたが、森田氏は「すべての子どもが同じような反応を示すわけではない」と注意喚起します。

「探究スペシャルにも、全然手を挙げない子もいれば、一歩引いた雰囲気で様子を見ている子だっていますよ。また、オンラインコースでは、ずっと画面オフのまま受講し続ける子も一定数いるんです。

ですが、積極的に発言しているからしっかり学んでいるわけではありません。動きが少なくても手を挙げなくても、講師をしていればその子たちとしっかり目が合いますし、自分なりに頭の中でものすごく考えていることが伝わってきます。

こちらの問いかけにすぐに反応する反射神経がいい子もいれば、長い時間をかけて組み立て、自分の中の論理がしっかりしてから言いたい子もいる。口に出すのが苦手でノートに書いて表現する子もいます。要するに、今見えている姿だけでは学びの効果は判断できないんです」(森田氏)

目に見えている部分だけで判断して親が口出しすると、子どものやる気を削ぐことになってしまいます。  写真提供:アフロ

親がわかりやすい変化や結果を求めると、子どもは苦しくなってしまいます。

長い目で、じっくりと子どもを見てあげることが大切です。たとえ積極的に参加していない、集中していないように見えたとしても、大人はグッとこらえて見守ることです。

『わかっているなら発言しなさい』などと親から急かされるのは、子どもが一番嫌がること。言いたい気持ちになるまで待っていれば、自分から話します。

まったく興味がないように見えた子から、数ヵ月後に自分なりの探究をまとめたすごいノートが出てくる、なんてこともあるんです。それに、今はまだ興味のあることがはっきりしていなくても、もう少ししたら一気にやり始めるかもしれません。子どもの興味や関心は、火がつけば勝手に動き出しますから」(森田氏)

親が「信じて待つ」ことができれば、どんな子でものびのびと学べるようになり、時間はかかっても興味や関心を深めることができるようになるのです。

第5回は、探究学舎から地元の学校へと広がる探究的な学びについてうかがいます。

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【森田太郎 プロフィール】
1977年生まれ。東京都出身。幼いころから遊びが大好きで、小学校入学後も宿題・勉強はほとんどせずに過ごす。ユーゴスラビア内戦を機に民族問題に関心を持ち、大学へ進学。ボスニア・ヘルツェゴビナにたびたび渡航し、1999年にサッカーによる民族融和を目指した論文で『秋野豊賞』を受賞。2000年にはNGO「サラエヴォ・フットボール・プロジェクト」を設立し、平和構築活動に従事。その後、東京都小学校教諭として13年勤務したのちに、2019年より探究学舎講師に。2021年からは三鷹市内の小学校で非常勤講師も務めている。著書に『サッカーが越えた民族の壁──サラエヴォに灯る希望の光(明石書店)』。

取材・文 川崎ちづる

【好奇心の種をまく探究学舎の学び】の連載は、全5回。
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※公開日までリンク無効

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かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。