三角&四角のシャボン玉をつくろう! 理系脳が育つ「自由研究」

100均素材で1日でできる【おそとで実験教室】理系脳が育つあそび方を専門家が解説

シャボン玉にはたらく力について科学の目で見てみよう

撮影:Yuchi モデル:Saki

みんな表に出たくない!シャボン玉分子の「場所取り合戦」

一般的なシャボン玉は、ボールのように丸い形です。上写真のように、細長いシャボン玉をつくろうとしても、途中でちぎれるように丸まります。これは、シャボン液をつくっている小さな粒、いわゆる分子が引き合う力に秘密があります。

分子はまわりの分子と引き合って安定しています。ところが、シャボン液の表面にある分子は、引き合う相手が少なく不安定です。そこで、なるべく不安定な表面の分子を減らす(=表面積を減らす)ことで安定しようとします。この力が「表面張力(ひょうめんちょうりょく)」です。シャボン玉がもっとも表面積が小さく安定する球になろうとするのは、表面張力のはたらきなのです。

シャボン液の中で、分子が引き合うようす。作図:Yuchi

シャボン玉同士も表面張力で引き合っている

シャボン玉が複数あった場合はどうなるでしょうか?

3つの輪(A)、4つの輪(B)がある「ふり輪」では、どんなシャボン玉ができるかな? 撮影:Yuchi、モデル:Saki
Aのふり輪でできるシャボン玉。CG製作:YKMS
Bのふり輪でできるシャボン玉。CG製作:YKMS

表面の不安定な分子同士が引き合って、シャボン玉はくっつきやすくなります。くっついた面は、平たくなります。完全な平面ではありませんが、球のカーブを描いていたときよりも、表面積も小さくなっていることがわかるでしょう。

立体の枠をつかったときも、シャボン液はなるべく表面積を小さくしようとします。そのため、枠の1番外側をおおうように膜をはるのではなく、内側に複雑な膜をはるのです。

枠で囲まれた4つの三角形に対して、内側を結ぶシャボン液の膜の面積のほうが約4割小さくなる。撮影:Yuchi
枠で囲まれた6面の合計より、内側を結ぶシャボン液の膜の面積のほうが約3割小さくなる。撮影:Yuchi

速くて正確! シャボン玉は計算名人⁈

今回、見てきたように、シャボン玉は単体でも、ほかのシャボン玉や枠などにであったときでも、すばやく最小面積を計算したかのように、小さくなる方に動きます。三角や四角の面積だったら、小学生でも計算できそうな気もしますが、立体だったり、正確な平面ではなくカーブが付いていたりして、そう簡単にはできません。

表面張力は理科の分野ですが、このシャボン玉の最小面積を求める問題は数学者のなかでも人気があります。科学者や数学者も夢中になるシャボン玉を、親子であらためて見直す機会にしてはいかがでしょうか?

構成・文/湯地真理子

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さいとう みのる

齋藤 実

理科教諭・理学修士

都内私立中高一貫校理科教諭/理学修士。1960年東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業、同大学大学院相関理化学修士課程修了、同博士課程中退。 専門は、物性物理。「シンプルで原理がわかる実験」を心がけながら、理科教育に携わる。自身の子育て経験を通して、幼児からの「実験あそび」を考案。

都内私立中高一貫校理科教諭/理学修士。1960年東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業、同大学大学院相関理化学修士課程修了、同博士課程中退。 専門は、物性物理。「シンプルで原理がわかる実験」を心がけながら、理科教育に携わる。自身の子育て経験を通して、幼児からの「実験あそび」を考案。