ぴったり靴で背が伸びる!? 子ども靴の履き方鉄則とサイズの選び方

3万人以上の足をみた専門家・伊藤笑子氏に聞く「子どもの足育」#4~靴の履き方&買い替えの目安編~

合同会社フェルゼCEO・マスターシューアドバイザー:伊藤 笑子

ベビーカー依存は注意! 危険を察知できる足を育てる

近年、子どもの歩行経験不足も問題視されています。機能的なベビーカーが普及し、毎日の通園さえも電動自転車やバス通園が増える現代。

子どもの歩く機会は昔と比べて格段に減少しています。伊藤さんはベビーカーを「テレポート」と表現します。

「私に言わせればベビーカーはテレポート。自分の脚力を使わないで移動できてしまいます。公園まで歩かずに連れて行ってもらい、遊んでくたびれたら帰りは乗せられ、気づいたら家。

私も年子の子どもを2人育てましたので、お子さんを連れての外出の大変さはよくわかります。ですが、便利さだけを優先するのではなく、小学校に上がるまでに道中での歩行をたくさん経験してもらいたいのです」(伊藤さん)

道は子どもにとって学びが詰まった場。車や自転車がよく通る場所、側溝がある場所、滑りやすい場所など、毎日の経験が訓練になるといいます。

「こうした歩行経験は、危険を察知する能力を高めるいいチャンスなんです。

自分の足を使って滑りそうなところをコントロールする、『危ない!』と言われてぱっと止まれる反射神経を育てる。

自分の足でいろいろな路面状況を経験していないと、どうしたら危険を回避できるかが訓練されません」(伊藤さん)

足は買い替えられない! 一生歩ける足に

健康な子どもに育ってほしい──。親なら誰でも願うことですが、からだの健康は足の健康があってこそ。

「靴は買い替えられても、足は買い替えられない」と伊藤さんは言います。

「食べることと同じくらい、歩くことは大切です。歩くための足を育てるためには基礎工事としてが7歳ごろ。骨格がしっかり出来上がるまでは14歳ごろまでかかります。

そのときまで手間とお金と心を費やしてほしいです。長いなと思うかもしれませんが、そこをサボってしまったら、一生歩き続けられる丈夫な足は育たないということを知っていただきたいです」

◆◆◆◆◆
人生100年時代。100年歩く足を育てるのは大人の責任でもあります。

ベビーカーや車ばかり乗せる。いいかげんな靴選びをする。決まりだからといって定番の上履きや草履を履く。そんな小さな積み重ねの日々が、長い人生に影を落とすことにつながるかもしれません。

伊藤笑子(いとう・えみこ)
合同会社フェルゼCEO・マスターシューアドバイザー。新潟医療福祉大学大学院 修士課程修了。学術研究と3万人以上の子どものシューフィッティングおよび販売実績を持つ、日本における子ども靴のパイオニア。2016年「日独小児靴学研究会」を樹立。2020年、日本フットケア・足病医学会学術委員会「子供の足、靴改革ワーキンググループ」サブリーダーを受任。小児靴の手引き書・指針の作成に尽力し、その中心的役割を担う。

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取材・文/大楽眞衣子

※3万人以上の足をみた専門家・伊藤笑子氏に聞く「子どもの足育」は全4回です。

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いとう えみこ

伊藤 笑子

合同会社フェルゼCEO・マスターシューアドバイザー

合同会社フェルゼCEO・マスターシューアドバイザー新潟医療福祉大学大学院 修士課程修了。学術研究と3万人以上の子どものシューフィッティング実績および販売実績を持つ、日本における子ども靴のパイオニア。 1996年、インターネット上に「子どもの足と靴の相談室」を開設、国内初の専門サイトを公開。ドイツ靴医学に基づく健康靴店「フラウ」を開業。2016年、専門者養成と知識の標準化を目指す「日独小児靴学研究会」を樹立。2019年、合同会社フェルゼを設立、CEOに就任。2020年、日本フットケア・足病医学会学術委員会「子供の足、靴改革ワーキンググループ」サブリーダーを受任。小児靴の手引き書・指針の作成に尽力し、その中心的役割を担う。 ●公式HP フェルゼオンライン  ●facebook

合同会社フェルゼCEO・マスターシューアドバイザー新潟医療福祉大学大学院 修士課程修了。学術研究と3万人以上の子どものシューフィッティング実績および販売実績を持つ、日本における子ども靴のパイオニア。 1996年、インターネット上に「子どもの足と靴の相談室」を開設、国内初の専門サイトを公開。ドイツ靴医学に基づく健康靴店「フラウ」を開業。2016年、専門者養成と知識の標準化を目指す「日独小児靴学研究会」を樹立。2019年、合同会社フェルゼを設立、CEOに就任。2020年、日本フットケア・足病医学会学術委員会「子供の足、靴改革ワーキンググループ」サブリーダーを受任。小児靴の手引き書・指針の作成に尽力し、その中心的役割を担う。 ●公式HP フェルゼオンライン  ●facebook

だいらく まいこ

大楽 眞衣子

社会派子育てライター

社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる社会派記事を執筆している。大学で児童学を専攻中で、保育士資格を取得。2歳差3兄弟の母。昆虫好き。イラストは三男による「ママ」 ●公式HP「my luck」

社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる社会派記事を執筆している。大学で児童学を専攻中で、保育士資格を取得。2歳差3兄弟の母。昆虫好き。イラストは三男による「ママ」 ●公式HP「my luck」