「子どものおちんちん触りやシモネタは止めなくてOK!」泌尿器科医が教える注意すべき規準
ママ泌尿器科医・岡田百合香先生「おちんちんの教科書」#3 ~トラブルや病気~
2022.09.22
泌尿器科医:岡田 百合香
これだけは知っておいてほしい病気やトラブル
「しかし、頻繁かつ執拗な触りグセのなかにはトラブルや病気が隠れているものもあります」と、岡田先生。
著書『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)では、さまざまなおちんちんの病気やトラブルについて、写真を添えて専門的な解説がされています。
なかでも、すぐに病院にいかないと後遺症が残るものとして優先順位がもっとも高い《カントン包茎》と《精巣捻転(せいそうねんてん)》については必ず知っておいてほしい、と岡田先生は語ります。
「皮をむいたら戻らなくなって、おちんちんを締め付けてむくんでいる状態が《カントン包茎》です。これはすぐに直さないと血流が悪くなり、手術になったり壊死したりするケースもあるので、急を要するもの。
小さいうちは、自分でそこまでむくことはあまりなく、むいてあげたいと思う保護者が、『むいたのはいいけれど戻さずそのままにしてしまった』というケースが多くあります」(岡田先生)
前回お伝えしたとおり、おちんちんはむかなくていいことを前提としたうえで、それでもむいてあげたい・むいているという方は、「むいたら絶対に戻す」ことは必ず知っておいてほしいところです。
「皮が戻らなくなったらすぐに病院へ! 夜であれば救急外来へ行ってください。一刻も早く処置しなければいけない病気です」(岡田先生)
また、小学校以降になると自分でむく子が出てきます。この年齢になると親が介入しづらく、対処が先延ばしになってしまうこともあります。
「インターネットに、『皮はむいたら戻さないでいたほうがいい』と書いてあって、それを実践した中高生なども少なくありません。小さなころから『皮はむいたら戻すんだよ』ということを徹底して伝えておいてほしいです」(岡田先生)
「たまたまが痛い」は赤信号!
ほかに一刻を争う病気としては、たまたま(精巣)のトラブルで、《精巣捻転》というものがあります。
「精巣にいく血管がねじれてしまう病気。こちらも一刻も早く対処しないと、壊死して不妊などにつながるケースがあります。もし『たまたまが痛い』と子どもが訴えてきたら、緊急赤信号がパッと灯るイメージをもってほしいです」(岡田先生)
ちなみに、小さな子どもの性器トラブルは、小児科と泌尿器科、どちらにかかるものなのでしょうか。
「今あげたような一刻を争う手術や治療が必要なケースは、泌尿器科専門の開業医か、泌尿器科のある総合病院へ行ってください。それ以外の、『バイ菌が入ってしまって腫れています』など、緊急ではない症状は、かかりつけの小児科での診察で問題ないです」(岡田先生)
次回は、おちんちんから見えてくる、日本の性教育について。これから向き合っていきたいさまざまなトピックスをうかがいました。
取材・文/遠藤るりこ
PROFILE 岡田百合香(おかだ・ゆりか)
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。
※岡田百合香先生「おちんちんの教科書」連載は全4回。第4回は9月23日です(公開日時までリンク無効)。
#4 「おちんちんはむけてないとダメ!」は間違い! ママ泌尿器科医と考える新しい性の価値観
#1 子どものおちんちんはむくべき!? 7000人の男性器を診たママ泌尿器科医が伝授
#2 子どものおちんちん・おまたはどう洗えば正解? ママ泌尿器科医が教える正しいケア
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
岡田 百合香
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。 『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。 『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。