
子どもの「ヘッドホン・イヤホン難聴」を防ぐには? 耳鼻咽喉科医が教える予防法と注意サイン
耳鼻咽喉科医・吉川沙耶花先生に聞く【子どものヘッドホン・イヤホン難聴】 (3/4) 1ページ目に戻る
2026.02.12
耳鼻咽喉科専門医:吉川 沙耶花
一度壊れると戻らない? 音を伝える「有毛細胞」の役割
音は、外耳から中耳まで空気の振動として伝わり、内耳の蝸牛(かぎゅう)というかたつむりのようならせん状をした器官へ入っていきます。
蝸牛の内壁には約2万個の「有毛細胞」が並んでいます。有毛細胞はその名のとおり感覚毛という細い毛のような束をもっています。
耳から入った音は、有毛細胞の毛先で、空気の振動エネルギーから電気信号に変換され、神経活動として脳に伝えられます。
ところが、この有毛細胞はとても繊細であるため、大きな音を長時間聞き続けると疲れてしまい、傷ついたり、毛の部分が抜け落ちたりすることがあります。
そうなると、音の振動をうまく受け取れなくなり、結果として聴こえが悪くなってしまうのです。一度壊れてしまった有毛細胞は元には戻りません。
難聴のリスクがある人とは?
ヘッドホン・イヤホン難聴は、ある日突然聞こえなくなるというタイプの難聴ではありませんが、大きな音を長時間聞き続ける習慣が積み重なることで、少しずつ聴こえにくくなっていきます。そのため、初めのうちは本人が気づきにくいのが特徴です。
耳詰まり感や耳鳴りのようなサインが現れることもあります。一度失われた聴力は元に戻らないため、症状に早めに気づき、イヤホンの使い方を見直すことがとても大切です。
では次の中で、当てはまるものはありますか?
1.電車など移動中によくイヤホンで音楽を聴く
2.大音量で音楽を聴くのが好き
3.ノイズキャンセリング機能のないイヤホンを使っている
4.オンライン授業やオンライン会議で長時間イヤホンをつけている
5.イヤホンで音を聞きながら寝る習慣がある
ひとつでも心当たりがあれば、ヘッドホン・イヤホン難聴のリスクがあります。
ヘッドホン・イヤホン難聴のリスクは、音の大きさと聴いている時間で決まります。
WHOは、難聴を防ぐためのイヤホンの使用目安として
・大人は80dBで週40時間未満
・子どもや若い世代は75dBで週40時間未満
としています。
ただし「40時間未満なら安心」というわけではありません。音の大きさが3dB大きくなるごとに、安全に聴ける時間がおよそ半分になるなど、音が少し大きくなるだけで耳が耐えられる時間は一気に短くなります。
例えば大人の場合、難聴を防ぐ目安は「80dBなら週40時間未満」ですが、「90dBになると週4時間ほど」と、一気に短くなります。
さらに100dB(ドライヤー、地下鉄車内の騒音)になると、短時間でも急に聴こえづらくなることがあります。
イヤホンを使うと耳内に直接音が入るため、大きな音量のまま長時間使うほど、耳へのダメージが蓄積しやすくなります。「音漏れするほどの大音量」や「つけっぱなし」は特に要注意です。












































































