流行中「百日ぜき」 小児科医に聞いた親が知っておきたいこと 乳児は強い咳でミルクが飲めなくなる事例も

「百日ぜき」#1 基礎知識と家庭でできる対策

小児科専門医・アレルギー専門医:岡本 光宏

受診する目安は「咳で何度も夜中に目が覚めてしまう」とき

──では、どんな症状があれば病院に行くべきでしょうか?

岡本先生:一つの目安として、「咳き込みが激しくて吐いてしまう」、あるいは「夜中に何度も咳で目が覚めてしまう」ときです。

特に小学生以上の子どもで、「昨日は2回起きた」「一昨日は3回起きた」といったように、咳で目が覚めた回数を自分ではっきり覚えているケースは、百日ぜきを疑うサインになることがあります。

というのも、百日ぜきの咳は本当に強くて発作的なんです。ウトウトしながら咳き込む、といった軽いものではなく、バッと目が覚めてしまうくらいの強い咳がでます。

ただ、喘息やマイコプラズマ、気管支炎など、咳が出る病気は他にもたくさんあります。だからこそ、「百日ぜきかどうか」というよりも、「今、出ている症状が何なのか」「どんな対処をすればいいのか」を知るために、気になることがあれば、まずはかかりつけの先生に相談するようにしましょう。

写真:maruco/イメージマート

岡本先生:そして、もう一つ意識してほしいのが、家庭内で「うつさない工夫」をすることです。

百日ぜきは咳やくしゃみによる“飛沫感染”で広がる病気ですが、乳児にとっては百日ぜきに限らず、いわゆる普通の風邪でも重症化してしまうことがあります。

特に生後まもない時期は免疫が未熟で、わずかな体調の変化でも大きな負担になります。だからこそ、家庭内に咳のある家族がいるときには、乳児にうつさないような配慮が大切になります。

● 咳がある人は家庭内でもマスクを着用する

● 2メートル以上の距離を意識する

● 可能であれば、同じ空間での食事や添い寝を避ける

などは特に気を付けたいですね。特に、まだ予防接種を受けていない月齢のお子さんがいる家庭では、こうした日常の配慮が感染予防につながります。

咳がつらいときの家庭でできるケア

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