子どもの目の異変 スマホ、パソコン、ゲーム… 「要注意な症状」を専門医が解説

【デジタル時代の子どもの目のトラブルとケア #1】子どもの目の問題は親が気づいてあげるしかない!

3歳児健診は、目の異常や病気を早期発見できる機会

言葉や知能、社会性が発達するタイミングで行われる3歳児健診は、子どもが初めて積極的に目の検査ができる大切な機会です。 写真:アフロ
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「3歳ごろになると言葉の発達をはじめ、ルールや規則への理解、社会性などが育ってくるため、『C』の記号を使った検査(ランドルト環視力検査)が成立します。

その子の正確な視力がわかりますし、3歳ごろは左右の目がそれぞれ違う方向を向いてしまう『斜視』が出てきやすい時期でもあるので、健診を受けることはとても重要です」(三木先生)

3歳児健診の視覚検査は、家庭で事前に簡単な視力検査を行って、目に関するアンケートへの記入が必要です。検査方法は配布される資料にも案内がありますが、次のことに注意して行いましょう。

家庭で行う視力検査での注意事項

① 明るい部屋で行う

② 子どもにやり方を説明して、何度か練習してみる。初めから距離をつけるのではなく、最初は近くで指差しの練習をし、最終的に2.5メートルの距離をとって検査を行う。結果を用紙に記入する

③ 親が答えを誘導しない

三木先生は「3歳児健診は眼科医がしっかり診てくれる機会であるばかりか、親としても眼科医としても病気があったら見つけてあげたいタイミングです」と話し、検査の重要性を訴えます。

家庭での検査がうまくできなかった場合などは、健診会場で視力の再検査(2次検査)を実施してくれますが、異常を見逃さないためには家庭での事前の視力検査が大切です。

健診では、1歳半健診のときにはわからなかった問題が見つけられます。また、目の発達は非常に早いため、治療に適したタイミングを逃すと十分な視力が得られなかったり、治療に時間がかかる場合があるので、逃さずに受診しましょう。


次回は、スマホの見すぎが原因で起こる「スマホ内斜視」について紹介します。

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◆三木 淳司(みき あつし)
日本眼科学会眼科専門医・指導医。医学博士。川崎医科大学附属病院眼科部長(教授)。
専門分野は斜視・弱視、神経眼科、小児眼科。
1992年に新潟大学医学部医学科卒業後、1998年同大学院医学研究科博士課程修了。1998年~2001年、米国ペンシルベニア大学・フィラデルフィア小児病院での博士研究員を経て、長岡赤十字病院眼科や新潟大学医歯学総合病院眼科などで医療に従事。2010年に川崎医科大学眼科学教授及び川崎医科大学附属病院にて現職に就任。
監修本に『健康ライブラリー イラスト版 子どもの目を守る本』(講談社)などがある。

取材・文/梶原知恵

『デジタル時代の子どもの目のトラブルとケア』の連載は、全3回。
第2回〈子どもの「スマホ内斜視」 小児眼科医が解説する「両目が内側に寄りすぎる症状」とは〉を読む。
第3回〈小学生で進みやすい子どもの「近視」 専門医が教える正しい「進行予防策」〉を読む。
※公開日までリンク無効

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みき あつし

三木 淳司

MIKI ATSUSHI
日本眼科学会眼科専門医・指導医

日本眼科学会眼科専門医・指導医。医学博士。川崎医科大学附属病院眼科部長(教授)。専門分野は斜視・弱視、神経眼科、小児眼科。 1992年に新潟大学医学部医学科卒業後、1998年同大学院医学研究科博士課程修了。1998年~2001年、米国ペンシルベニア大学・フィラデルフィア小児病院での博士研究員を経て、長岡赤十字病院眼科や新潟大学医歯学総合病院眼科などで医療に従事。2010年に川崎医科大学眼科学教授及び川崎医科大学附属病院にて現職に就任。 【主な共著や監修書】 『健康ライブラリー イラスト版 子どもの目を守る本』(小社刊)など

日本眼科学会眼科専門医・指導医。医学博士。川崎医科大学附属病院眼科部長(教授)。専門分野は斜視・弱視、神経眼科、小児眼科。 1992年に新潟大学医学部医学科卒業後、1998年同大学院医学研究科博士課程修了。1998年~2001年、米国ペンシルベニア大学・フィラデルフィア小児病院での博士研究員を経て、長岡赤十字病院眼科や新潟大学医歯学総合病院眼科などで医療に従事。2010年に川崎医科大学眼科学教授及び川崎医科大学附属病院にて現職に就任。 【主な共著や監修書】 『健康ライブラリー イラスト版 子どもの目を守る本』(小社刊)など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。