小学生で進みやすい子どもの「近視」 専門医が教える正しい「進行予防策」

【デジタル時代の子どもの目のトラブルとケア #3】気づいたら近視になっていた!? 視力は一度落ちたら戻らない!

姿勢が崩れると目とスマホの距離が短くなって、内斜視や近視がいつの間にか進んでいることがあります。 写真:アフロ

仕事で忙しかったり、家事で手が離せなかったりすると、スマホやタブレットなどに子守をさせてしまうこともあります。

しかし、デジタル機器による子守の回数が多く、時間も長く与えていると、両目が内側に寄りすぎる「スマホ内斜視」を発症する可能性が高まります。

また、小学生時代は体の成長に伴って眼球も伸びてくるため、近視が進みやすい時期。生活だけでなく、子どもたちの将来もデジタル機器なしでは成り立たないからこそ、それらとの付き合い方と目の健康は非常に重要です。

親が知っておくべきデジタル時代の子どもの目のトラブルとケア方法を、小児眼科医の三木淳司先生に教えていただきます(全3回の3回目、1回目2回目を読む)。

◆三木 淳司(みき あつし)
日本眼科学会眼科専門医・指導医。医学博士。川崎医科大学附属病院眼科部長(教授)。
専門分野は斜視・弱視、神経眼科、小児眼科。

【デジタル時代の子どもの目のトラブルとケア】の連載は、全3回。
第1回〈子どもの目の異変 スマホ、パソコン、ゲーム… 「要注意な症状」を専門医が解説〉を読む。
第2回〈子どもの「スマホ内斜視」 小児眼科医が解説する「両目が内側に寄りすぎる症状」とは〉を読む。
※公開日までリンク無効

小学生時代は特に近視が進みやすい時期

スマホや小型ゲーム機、タブレットなどの小さな画面に目を近づけ、長時間視聴することで「スマホ内斜視(#2を読む)」が発症する可能性は高まります。

スマホ内斜視は時間との関連性があると考えられており、三木先生の診察では、スマホを育児に取り入れ始めた家庭の4歳の子どもにスマホ内斜視が見られたケースもありました。

また、画面に顔を寄せて見る癖がつくと、内斜視だけでなくいつの間にか近視になって、それが進んでいることもあります。

「そもそも学童期は体の成長に伴って眼球も変化する時期(#1を読む)で、それと同時に近視になりやすい性質を持っています。私の小児眼科医としての経験でお話しすると、近視化するのは小学2年生あたりからです。

近視化が進みやすい学童期ですから、スマホやタブレットなどの小さな画面に顔を近づけて見るような生活習慣をしていれば、気づいたら近視になっていることもあるでしょう」(三木先生)

小型のデジタル端末は、寝ながら見たり、楽な姿勢で扱えるため、目からの距離が近くなるばかりでなく、長時間の視聴をしがちです。また、画面に夢中になると近くだけにピントが合った状態が続き、これが近視の原因になります。

ダラダラとスマホを見る習慣がつくと、場所や時間にかまわずスマホを手に取り、無駄な時間をすごしてしまう生活にもなりかねません。

「暇だからスマホを見ることが習慣化しないように、親が子どものデジタル機器の視聴をコントロールすることが大切です」(三木先生)

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