
“痛くない”インフルエンザワクチン「フルミスト」とは? 鼻から投与する生ワクチンを小児科医が解説
2024年導入の新インフルエンザワクチン「フルミスト」を小児科医が解説 (4/4) 1ページ目に戻る
2025.11.20
新生児科医・小児科医:今西 洋介
子どもの性格や発達の状況を踏まえてどちらを接種するか検討を
──ここまでの特徴をふまえて、フルミストがお勧めの人を教えてください。
今西先生:特に痛みに弱い人や毎年、注射を打ったあとに強く腫れてしまう人などはフルミストを検討してもいいでしょう。
注射に対する反応は子どもの特性や発達段階によっても異なります。年齢が上がっても注射に強く抵抗する子もいれば、平気な子もいます。費用面を考えると、抵抗が少ない場合は注射型を選んでもよいと思います。
今西先生:また、フルミストは効果の持続期間が長いため、受験生などに適していると言えます。とはいえ、どちらのワクチンも「打てば絶対に感染しない」というものではありません。手洗いやうがいなど、基本的な感染対策を続けることが大切です。
いずれにしても、どちらのワクチンを選ぶかは、保護者の方の判断がとても大切です。子どもの性格や体質、発達の状況を踏まえて検討し、迷ったときはかかりつけ医に相談して決めるのが安心です。
アメリカでは主流? 鼻から投与する薬の広がり
──痛くないワクチンが登場したなんて、夢のようですね!
今西先生:そうですね。実は最近、小児科の分野では「鼻から投与する薬」が広がりつつあります。例えば、救急外来では、熱性けいれんの子どもに鼻から薬を入れて発作を抑えることができるようになりました。以前は赤ちゃんを押さえて点滴をしなければならず大変でしたが、鼻からの投与で治療がぐっとスムーズになりました。
インフルエンザの注射も、子どもによっては泣いたり暴れたりして3人がかりで押さえることもあります。痛みのない方法で接種できるようになったのは、とてもありがたいことです。
私は今、研究のためアメリカに滞在していますが、こちらでは20年以上前からフルミストが使われており、大人でも薬局で接種できます。誰でも痛みは苦手ですから、日本でもこうした接種しやすいワクチンがもっと広がっていくといいですね。
──◆───◆──
鼻から投与するインフルエンザワクチン「フルミスト」について、効果の特徴や副反応、注意点などを今西先生に詳しく解説してもらいました。手洗いやうがいといった基本の感染対策を続けながら、子どもの年齢や体質に合った方法で予防接種を行い、この冬のインフルエンザシーズンを安心して過ごしたいですね。
取材・文/横井かずえ
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横井 かずえ
医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL: https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2
医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL: https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2




































今西 洋介
小児科医・新生児科医、小児医療ジャーナリスト。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ『コウノドリ』の取材協力医師を努めた。 NICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。 SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会問題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。趣味はNBA観戦。 最新著書『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社) Twitterのフォロワー数は14万人。 Twitter @doctor_nw
小児科医・新生児科医、小児医療ジャーナリスト。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ『コウノドリ』の取材協力医師を努めた。 NICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。 SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会問題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。趣味はNBA観戦。 最新著書『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社) Twitterのフォロワー数は14万人。 Twitter @doctor_nw