子どもの「骨育」いつもの食事にちょい足しでOK 効果的に栄養が摂れる成長期の食事とは? 〔整形外科医〕が伝授

大人になってからではもう遅い! 成長期に骨を育てておく重要性 #2

骨の新陳代謝に必要な三大栄養素

──「骨といえばカルシウム」です。カルシウムの効果的な摂り方はありますか。

伊藤薫子先生(以下、伊藤先生):カルシウムは骨の成長に欠かせない栄養素です。ただし、カルシウムは単体で摂取するよりも、吸収力を上げるビタミンCと、定着を高めるビタミンDを一緒に摂るのがオススメです。

──ビタミンCの豊富な食材といえば果物ですね。では、ビタミンDはどんな食材に含まれていますか。

伊藤先生:ビタミンDは日光を浴びるだけで体内で生成することができ、夏場なら10分程度、冬場なら30分程度の日光浴で十分、生成されます。ビタミンDが不足すると、骨が弱くなる「くる病」の心配がありますが、それは極地でそもそも日照時間が少ない地域の話。日本ではお子さんが積極的に野外活動をしなくても、登下校中や学校生活で補えます。

とはいえ日光不足が心配なら、やはり食事から摂っていただくのがベターです。サケ、サバ、ブリ、イワシ、ツナ、シラスなどの魚やキノコ類には、ビタミンDが多く含まれています。

なかでもサケはタンパク質とビタミンDが同時に摂れる、骨量アップの食材。「切り身ですら調理が面倒」という方は、瓶詰のサケフレークなら焼かなくてもご飯に振りかけるだけで、手軽にサケが食べられます。

さらに、スーパーによってはビタミンD入りの卵や牛乳を扱っていることがあるので、日々の生活に無理なく取り入れることができるでしょう。

毎回の食事で摂りたいタンパク質

──カルシウム、ビタミンCとDのほかに、骨の成長に必要な栄養素はありますか。

伊藤先生:毎回の食事で摂っていただきたいのは、肉類、魚介類、卵、大豆食品、乳製品など幅広い食材に含まれるタンパク質です。

カルシウムとタンパク質が同時に摂れる、次のような骨育メニューはいかがでしょうか。

しらすとチーズがよく合う「しらすトースト」。  写真:石牟礼ともよ
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【しらすトースト】
〈材料〉(1人分)
・食パン 1枚
・ツナ缶 1缶
・小松菜 約1/3束
・しらす干し 大さじ2
・とろけるチーズ 大さじ2
・マヨネーズ お好み量

〈作り方〉
①小松菜はゆでて水けをきり、長さ2cm程度の食べやすい大きさに切る。
②ボウルにツナとマヨネーズを入れて混ぜ、ツナマヨを作る。
③食パンに②のツナマヨを塗り、小松菜、とろけるチーズ、しらす干しをのせる。
④トースターで5分ほど、チーズがとろりと溶けてくるくらいまで焼く。

主に小松菜にはカルシウム、ツナにはタンパク質、しらす干しとチーズには両方が含まれています。しらす干しはビタミンDとB12・鉄分なども含まれているので、一つで何役もこなせる優秀選手といえるでしょう。

一品でさまざまな食材が摂れる「食べるスープ」

何種類もの野菜を入れて作る「食べるスープ」も万能。毎日でも摂りたい骨育メニューです。

たとえば味噌汁なら、根菜、葉物など通年手に入る具材はもちろん、夏はオクラ、冬はカブなど季節の野菜を入れ、具だくさんにするといいでしょう。出汁はいりこで取るのがよく、そのまま具としていただくとカルシウム量もアップ。酸味のあるすだちをスライスしてのせると、腸での消化吸収が促進されます。

鶏手羽や水炊き用の鶏の骨付き肉を、野菜と合わせて塩だけでじっくりコトコト煮込んだボーンブロススープもオススメです。骨付き肉はカルシウム、コラーゲン、ヒアルロン酸などがたっぷり摂れるうえ、旨味があって体も温まり消化にもいい食材。多めに作ってジッパー付きの袋に小分けして冷凍すれば、いざというときの一品にもなります。

具材から栄養が染み出るスープは、毎日摂りたい骨育メニュー。  写真:伊藤薫子

子どもに大好評! 骨の成長をあと押しするヘルシープリン

デザートにはカルシウムとタンパク質、ビタミンCが同時に摂れる、「レモンヨーグルトプリン」が子どもに大好評です。子どもと一緒に作ると、より美味しくいただけるでしょう。

レモンのさわやかな香りが楽しめる簡単ヘルシープリン。  写真:遠藤京子

【レモンヨーグルトプリン】
〈材料〉(2杯分)
・プレーンヨーグルト 200g
・牛乳  50ml  
・はちみつ(てんさいオリゴ糖でも可)  30~40g
・レモン汁  大さじ2(約レモン1/2個分)
・粉ゼラチン  5g
・お湯(粉ゼラチンを溶かす用)  大さじ2

〈作り方〉
①粉ゼラチンをお湯で溶かしておく(水の場合は、電子レンジで約20秒温めてお湯にする)。
②ボウルにプレーンヨーグルト、はちみつ(orてんさいオリゴ糖)を加え、ヘラでしっかり混ぜる。
③②に牛乳を加えてよく混ぜる。とろみが均一になったらレモン汁、溶かしたゼラチンを入れてよく混ぜる。
④容器に注ぎ、冷蔵庫で30分以上冷やし固める。

※はちみつは乳児ボツリヌス症を引き起こす危険があるため、1歳未満の乳児には与えないでください。
※はちみつが使える場合は、冷やしている間にスライスしたレモンをはちみつ漬けし、固まったプリンの上にのせると見た目もアップ!

骨の成長を阻害するものとは?

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