子どもの「骨育」いつもの食事にちょい足しでOK 効果的に栄養が摂れる成長期の食事とは? 〔整形外科医〕が伝授

大人になってからではもう遅い! 成長期に骨を育てておく重要性 #2

成長期の骨に大敵! 食品添加物

──骨の成長に悪影響を及ぼす食材や食べ物はありますか。

伊藤先生:骨の成長に重要なカルシウムの吸収を妨げるのが、リンです。リンはハムやソーセージなどの加工品、ちくわ、かまぼこなどのすり身製品、菓子パンやスナック菓子、インスタント食品などに添加物として含まれています。

原材料をチェックして添加物が入っている加工食品には注意し、生鮮食品を中心とした食生活を心がけましょう。

マグネシウム不足で骨がもろくなる!

──骨がもろくなる原因は何ですか。

伊藤先生:骨の形成と強度の維持には、第1回でも紹介した骨の新陳代謝のほかに、体の構成材料ともなるミネラルも欠かせません。骨はミネラルを貯蔵する役割も果たしています。

ミネラルの一種であるマグネシウムは、体内中の約6割が骨に蓄えられて骨の弾力性を高めます。残りの4割はタンパク質の合成、神経伝達、心機能の維持、筋肉の収縮などさまざまな役割を担います。

神経や筋肉で働くマグネシウムが不足すると、骨に蓄えられているマグネシウムが溶け出して補給されるので、骨の表面がもろくなるのです。

マグネシウムは、主食の白米を玄米に、パンを全粒粉に替えるだけで、約5倍も摂れる量が変わります。そのほかドライフルーツや海藻類、干しエビ、切り干し大根、枝豆などにも多く含まれますから、積極的に摂るといいでしょう。

ただし、口から摂取するものでも、サプリメントによる過剰摂取には注意してください。

成長期に骨を育てる意味

人生100年時代を生きる私たちにとって、強い骨は健康に欠かせません。歳をとり、不調が出てから骨の健康に対処するのでは遅いため、まだ十分に予防できる成長期から取り組むことが大切であり、それが生涯にわたり強い骨でいられる秘けつになります。

医療は「治療」から「予防」の時代に変わってきています。家庭でも「予防」を意識した、健康な体づくりが必要とされます。

伸び盛りである成長期の骨作りは、体の土台をつくるもの。些細なことが原因で骨折するのを減らすためにも、正しい知識を持ち、日ごろからの習慣を見直したいものです。

取材・文/石牟礼ともよ

─◆─◆─◆─◆─◆─◆

すべての画像を見る(全7枚)

◆伊藤 薫子(いとう かおるこ)
「かおるこHappyクリニック」院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京女子医科大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室へ入局。関連病院勤務、アメリカ留学を経て慶應義塾大学病院骨粗しょう症外来を担当。2021年7月、帝国ホテル東京内に女性のための整形外科クリニックを開院。
「いくつになってもハイヒール」をモットーに、女性一人一人の骨と関節の悩みに寄り添う診療に定評がある。症状が悪化してから来院する患者さんを年間1000人以上診てきた経験から、最近では骨がスカスカになる前に対処する「予防医学」にも力を入れている。『Dr.クロワッサン 一生歩くための骨活。』(MAGAZINE HOUSE MOOK)を監修し、4ヵ月オンラインで行う骨活プログラムが人気。

かおるこHappyクリニック

【大人になってからではもう遅い! 成長期に骨を育てておく重要性】の記事は全2回。
第1回を読む。

【関連書籍】

この記事の画像をもっと見る(全7枚)

前へ

3/3

次へ

40 件