「成長痛」は骨や筋肉の痛みではなく「心の成長」が原因だった! 整形外科医がわかりやすく解説
整形外科医・石神等先生に聞く「成長痛」 #1 成長痛の原因と見極め方
2024.08.21
いしがみ整形外科クリニック院長:石神 等
石神等先生(以下、石神先生):成長痛とは、成長期の子どもの足にあらわれる痛みの総称として広く使われています。太ももやふくらはぎ、膝、足首など足周りが中心ですが、腰や背中、手や首に症状が出る場合もあります。
幼児期が最も多く、早いと1歳6ヵ月以降の会話ができるようになるころから痛みを訴えるお子さんもいます。転んだわけでも、ぶつけたわけでもないのに、足を触って「いたい、いたい」と言ってくることが多いですね。その後は、中学生くらいまで発症の可能性があります。
骨や筋肉には異常がない
──痛みの原因はあるのでしょうか?
石神先生:骨や筋肉に炎症が起きているわけではなく、はっきりとした原因はわかっていません。ですが、今のところストレスによって引き起こされるといわれています。
ストレスと言っても、嫌なことや何かを我慢しているとは限りません。たとえば初めて通園するお子さんにとって、お母さんと離れて暮らす時間はそれだけで緊張するでしょうし、1人で着替えたり歯を磨いたりするのも、慣れるまでは毎日が「がんばっている」状態です。新しい友達との遊びも楽しかったり、興奮したり。
そういった避けては通れない成長の過程で感じる心への負荷や疲れが「足の痛み」として現れることが多いですね。多くの子どもたちを診察してきて、より実感しています。
また、幼児期や学童期は身体が未熟ですし、偏平足や関節が柔らかいお子さんもいます。日中、たくさん走りまわるなどをして、筋肉に疲労がたまることも痛みや、不快感の原因の一つと考えられています。
スポーツ障害と成長痛との違い
──身体的な成長から痛みがくるのが成長痛なのかと思っていました。
石神先生:そのように身長の急激な伸びにともなって痛みが出ると認識している方は多くいらっしゃいます。ですが、身長の伸びだけで痛みが起きることはありません。骨や筋肉が未発達な時期に、激しいスポーツをして、強い負荷がかかることで痛みが出てくるのです。
しかしこれらは、「シーバー病」や「オスグッド病」という「スポーツ障害」で、実際は骨や筋肉に炎症が起きて痛みが出るもの。ケアの仕方も全く違うので、見極めが大切ですね。スポーツ障害については次回2回目で説明します。