「成長痛」は骨や筋肉の痛みではなく「心の成長」が原因だった! 整形外科医がわかりやすく解説

整形外科医・石神等先生に聞く「成長痛」 #1 成長痛の原因と見極め方

いしがみ整形外科クリニック院長:石神 等

見極め方は痛みが出る時間帯と頻度

──成長痛だと見極めるポイントはありますか?

石神先生:お子さんが「痛がる時間帯」は重要です。というのも、成長痛は、夕方から寝るまでの間に痛みを訴える子が8割だからです。

ちなみに、この時間帯にすごく痛がっていても、昼間はケロッとすることがほとんどです。昼夜で痛みが異なるようでしたら、成長痛だと思って間違いないでしょう。

日中、保育園や学校にいるときや、友達と遊んでいるときなど、何かに夢中になっていると痛みを訴える子はあまりいません。帰宅後に「足が痛い」と言い出しても、その後の習い事では元気に動きまわっている、なんていうこともよくあります。

また、痛みが出る時期と全く出ない時期があるのも成長痛の特徴です。週に1~2回だったり、月に1~2回だったり、不定期に痛みの波がやってきます。成長痛の場合、保護者の方がさすってあげたりするだけで痛みが軽くなることもあります。

このような成長痛の特徴が当てはまらない場合や、痛みが続く場合は、整形外科で一度診てもらってください。

診察は問診と触診から

──整形外科の診察ではどのようなことをするのでしょうか?

石神先生:まずは問診です。どんなときに痛みが出るのか。どのくらいの頻度で痛がり、痛みはどの程度続くのか。また転倒の有無や、激しい運動など、痛みの原因に心当たりがあるかどうかを伺います。

次に触診です。患部を押したときに痛みが出るか、腫れや熱感がないかを触って確かめます。特に幼児は組織がやわらかく、見た目にはわからなくても深部が腫れていることがあります。成長痛だと思っていても、丁寧に触ることで異常が見つかることが稀にあるんですよ。

最後にレントゲンや超音波で骨や筋肉に炎症が起きていないかを確認します。問診である程度の判断はできますが、触診でも検査でも異常がなければ正式に成長痛という診断になります。

──治るまで通院する必要はありますか?

石神先生:基本的に自宅でのケアで問題ありませんが、痛みの頻度が多い子や、痛みが強い場合には定期的な受診をすすめています。通院するうちに、痛みが出たときの対処法がわかってくるので、上手に付き合えるようになります。長くても3ヵ月くらいで痛みが治まってくる子が多いですね。

──◆─────◆───

「成長痛」は骨や筋肉の炎症ではなく、成長の過程で感じるさまざまなストレスが原因であることがわかりました。子どもが足を痛がっているとき、明らかに成長痛だとわかる症状であれば、まずはお子さんの日中の様子を思い出してみるとよいですね。

次回2回目では、成長期のスポーツによって引き起こされる炎症「スポーツ障害」について、引き続き石神先生に伺います。

取材・文/北 京子

子どもの成長痛に関する記事は全3回。
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(※2回目は2024年8月22日、3回目は8月23日公開。公開日までリンク無効)

19 件
いしがみ ひとし

石神 等

Hitoshi Ishigami
いしがみ整形外科クリニック院長

日本整形外科学会認定専門医。 東京都出身。日本大学医学部卒業後、同整形外科入局。2005年埼玉県立小児医療センター、日本大学医学部附属板橋病院、川越の三井病院整形外科などを経て、2017年5月に川越市に「いしがみ整形外科クリニック」を開業。 人工関節手術の最新技術にも定評がある。また、日本骨粗鬆症学会認定専門医として、骨粗鬆症の治療にも力を注いでいる。 https://ishigami-seikei-cl.com/ishigami/

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日本整形外科学会認定専門医。 東京都出身。日本大学医学部卒業後、同整形外科入局。2005年埼玉県立小児医療センター、日本大学医学部附属板橋病院、川越の三井病院整形外科などを経て、2017年5月に川越市に「いしがみ整形外科クリニック」を開業。 人工関節手術の最新技術にも定評がある。また、日本骨粗鬆症学会認定専門医として、骨粗鬆症の治療にも力を注いでいる。 https://ishigami-seikei-cl.com/ishigami/

きた きょうこ

北 京子

Kyouko Kita
フリーライター

フリーライター。 藤沢市在住。食の月刊誌の編集者を経て独立。食を中心に、SDGs、防災、農業などに関する取材・執筆を行う。 3児の母。自然の中で遊ぶこと、体を動かすこと、愛犬とたわむれることが好き。

フリーライター。 藤沢市在住。食の月刊誌の編集者を経て独立。食を中心に、SDGs、防災、農業などに関する取材・執筆を行う。 3児の母。自然の中で遊ぶこと、体を動かすこと、愛犬とたわむれることが好き。