
【子育て中の親へ届け】散らかった部屋は「一生懸命生きた証」! 『カフネ』作者も感動した、プロの家事代行の真実
本屋大賞を受賞した『カフネ』の作者と家事代行サービススタッフの座談会
2025.11.12
ライター:山口 真央
全国の書店員が「いちばん!売りたい」本を選ぶ本屋大賞で、2025年の大賞を受賞した小説『カフネ』。突然死した男性の「姉」と「元恋人」が、家事代行サービスのスタッフとなり、出会う人々の心を救う物語です。
作者の阿部暁子さんが、家事代行サービスのパイオニア、株式会社ベアーズを訪問! 広報室長の服部さん、現場スタッフの丸子さん、阿久津さんとの座談会がおこなわれました。『カフネ』の創作秘話や、家事代行スタッフのリアルな気持ちを、熱く語り合います。
家事代行の「真髄」が描かれている『カフネ』
服部:このたびは弊社までお越しいただき、ありがとうございます。じつは私、『カフネ』を読んでから5時間ぐらい涙がとまらなくなってしまいまして……。
阿部:恐縮です! ありがとうございます。
服部:『カフネ』は突然死した男性の「姉」の薫子と、「元恋人」のせつなが、家事代行サービスのパートナーとなってさまざまなお客様のもとを訪ねます。家事代行を通してお客様を癒やす姿、またふたりが少しずつ心を通わせていく姿に胸を打たれました。
丸子:私も『カフネ』を読んで泣きました。サバサバした性格のせつなさんが大好きです。作中では家事代行の仕事が、とってもリアルに描かれていますよね。
阿部:わあ、嬉しい。心からホッとしております。『カフネ』を書いていたのはちょうどコロナ禍で、思うように取材ができない時期でした。本当だったら家事代行をしている方から生の声を聞きたかったのですが、やむを得ず調べただけで書いてしまったところもあります。
服部:それはびっくりです! この物語には家事代行の真髄が描かれていると感じていたので。阿部さんは、どうしてこのお話を書こうと思ったのですか。
阿部:当初『カフネ』は、薫子とせつなが古いワゴン車にフライパンと包丁を積んで旅をするような、もう少し明るい内容にしようと思っていました。ですがコロナ禍が起きて、生きることの大変さをしみじみ感じる日々が続いたんです。
阿久津:新型コロナウイルスが蔓延していた時期は、不要不急の外出も禁止されてましたし、この先どうなるのか誰もわかりませんでしたよね。
阿部:そうでしたよね。もしこのままコロナ禍が続いて、書店さんが閉まってしまい、小説が売れなくなったら、私の生活はどうなるんだろうと思いました。自分のなかに「ちゃんと食べていけるのか」という根源的な不安があると感じたんです。生きていくことの価値を見つめ直す話を書きたい。そう思って、『カフネ』の内容を大きく方向転換すると決めました。


































