PTAの《お金》問題がアウトソーシングで解決? 余剰金の適切な使い方とは?

PTA専用支援サービス「PTAアウトソーシング」#4 ~PTA会費~

ライター:遠藤 るりこ

PTAの正しい「お金」の使い方とは。  写真:アフロ
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2020年11月、PTA専用支援サービス「PTA’S(ピータス)」をリリースした、合同会社「さかせる」の増島佐和子(ますじま・さわこ)さん。

ご自身の子育て経験、PTA副会長の体験から、PTAをより持続可能で保護者負担の少ないものにするため試行錯誤してきました。全国のPTAとのやり取りのなかで、それぞれの組織が抱えるいろいろな課題に直面することになります。

立ちはだかったのは、《お金》の問題。これまで保護者のボランティアにより成り立っていたPTA業務を、お金を払って外注することに対する正当性が議論されるなか、増島さんが考える、子どもと保護者のための正しい「予算」の使い方とは。

最後にPTAにくわしい労働・子育てジャーナリスト、吉田大樹さんの意見も紹介します。

※全5回の4回目(#1#2#3を読む)

PTA’S(ピータス)代表の増島佐和子さん。サービス開始から2年、全国PTAの負担軽減に取り組んできました。  Zoom取材にて

なかなか拭えない PTA外注への違和感

PTAがアウトソース先を探すためのマッチングプラットフォーム「PTA’S(ピータス)」。PTA’Sを利用するには、機能によってはサイトへの登録が必要となります。

2023年1月現在、全国40都道府県で740以上のPTAが登録しているPTA’Sですが、サービスの認知や登録までにはいろいろなハードルがあった、と代表の増島佐和子(ますじま・さわこ)さん。2020年のサービスリリース時を振り返ってこう語ります。

「みなさんコンテンツ自体には興味があったようで『こんなサービス待っていた!』と好意的な声が多く、ニーズがあることを確信しました。しかし、実際に利用するかどうかは、話は別。最初の一歩を踏み出すPTAは多くなく、なかなか難しかったです」(増島さん)

みんなのお金を使うからこそ適正な利用を

PTA‘Sが展開するサービスの趣旨を理解してもらい、登録してもらうまでたどりつくのがひとつめのハードルだったと語ります。

「これまで保護者の《時間》と《労力》をつかっていたものを、『そもそも、《お金》を使って外注していいんだっけ?』と立ち止まるPTAは多かったです。

例えるならお弁当に冷凍食品を入れる感覚でしょうかね。誰かがダメって言っているわけでないけれど、なんとなく後ろめたい気がするというか。PTAが外注することに違和感を感じる方はまだまだ多くいらっしゃいます」(増島さん)

PTA業務をアウトソースするには、もちろんお金がかかります。ときには「PTAを食い物にしやがって!」などと、心ない声も届いたと言います。

「何か新しいことを始めたり、これまでのやり方を変えていくのってとってもパワーがいりますよね。自分はいいと思っているけれど、きっと周りの賛同をえられないと思ってあきらめてしまう人も。

実際に外注を利用するまでに至らないPTAが多いというのが、最初は正直なところでした。

会員から、会費として集めた予算をどう使うのか。運動会の運営サポートをアウトソーシングした際の、事後アンケートでもわかりましたが、適切な外注であれば、予算の使い方としては理解や賛同が得られると思うんです」(増島さん)

予算をどう使ったら? 使い切れずに繰り越している予算も

全国のPTAから寄せられる相談のなかで目立つのが、予算の問題だと増島さんは語ります。実は、予算の使い方に迷っているPTAは少なくないのです。

「予算が余っているけれど、どう使ったらいいかわからない、などの相談があります。周年事業積立金といった名目で、毎年少しずつ翌年へ予算を繰り越しているPTAは多く、それが積もりに積もって『使い方に悩んでいる』と。

そんなときは、校章のはいった記念品といった、その場限りのものではなく『今とこれからの子どもたちのために、何が必要なのか?』を一緒に考えて、より良い予算の使い方を提案しています」(増島さん)

例えば、PTAを効率化するための新しいサービスを導入する、これまで手作業だったものを、誰でも使えるオリジナルのデータベースにしてPTA業務をスムーズにするなどです。

「保護者負担を軽くするための外注は、事務作業や年中行事などの業務をスポットで依頼して、活動を効率化する、というものだけではありません。

特に、使い切れずに繰り越してしまっている予算は、今とこれからの子どもたちのために、という永続的な目線で使い方を検討していただきたいと思います。

今はコロナ禍で活動内容が問われる大きな転換期で、新しい仕組み作りのためにも、アウトソーシングは役に立つと思います」(増島さん)

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