「勉強しなさい」が子どものやる気を潰す…元マッキンゼーの教育者が指摘する「親の思い込み」

【今こそ学力観のアップデートをするとき】子どもの好奇心が爆発する親の接し方#1 子どものやる気を奪う大人の思い込み

ラーンネットでは、五感を大切にしながら頭と心と体で学んでいきます。  写真提供:ラーンネット・グローバルスクール
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子どもの主体性を引き出す「ナビゲータ」

ラーンネットでは、子どもが好きなこと、興味のあることを自分で選択して学んでいくことを基本としています。それを支えるのが「ナビゲータ」の存在です。大人は子どもの学びをガイドし、成長を側面支援するのが役割。何かを教える“先生”ではなく、ナビゲータと呼ばれています。

ナビゲータは、次のような考え方・態度で子どもに接しています。

【ナビゲーターが子どもに接する態度】
・子どもを信頼し、いい点を見つける
・子ども自身の行動をよく見て、じっくりと話を聴く
・ポジティブな言葉がけをする
(できるだけ否定しない)
・子どもと対話し、ともに学び成長する

「ナビゲータは、一人ひとりの個性を大切に、子どもを信頼して接しています。ポジティブな言葉がけを行い、子どもに自信を持たせてあげることが基本です。こうした考え方・接し方で27年間ラーンネットを運営する中で、僕は子どもたちがそれぞれの個性を伸ばして自信をつけ、さまざまなことに積極的に取り組む姿を見てきました。

そして、彼ら・彼女らは卒業後もラーンネットで身につけた『自分の中の興味関心=自分の中のエンジン』で学び、行動しています。それぞれ、自分の選んだ道で新しいものを作り出したり挑戦したりしています」(炭谷氏)
※卒業生の活躍の詳細については、#4にて紹介。

そんな主体的な子どもを育ててきたラーンネットの実践を基に、子どもへの関わり方をまとめ、一般に公開しているのが「探究ナビ講座」です。2002年から開始したこの講座は、すでに1300人以上の保護者や教育関係者が受講し、それぞれの生活や現場で取り入れています。

第2回は、「探究ナビ講座」で扱っている、子どもの意欲を引き出し探究サイクルへと導く具体的な理論や方法について紹介します。

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【炭谷俊樹 プロフィール】
ラーンネット・グローバルスクール代表。神戸情報大学院大学学長。1960年神戸市生まれ。マッキンゼーにて10年間日本及び北欧企業のコンサルティングに携わる。新人コンサルタント採用・研修の責任者も担当。デンマークの社会や教育に感銘したことがきっかけとなり、1996年に神戸で子どもの個性を活かす「ラーンネット・グローバルスクール」を開校。1997年、大前研一氏とともに企業のビジネスリーダー育成事業を創業、2005年よりビジネス・ブレークスルー大学大学院経営学研究科教授(2010年より客員教授)。2010年に神戸情報大学院大学学長に就任。3歳の幼児から企業のエグゼクティブまで幅広い年齢対象で、探究型の教育を実践している。東京大学大学院理学系研究科修士(物理学専攻)。著書に『第3の教育』(角川書店)『ゼロからはじめる社会起業』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。学びを探究するメディア『Q』責任編集。

取材・文 川崎ちづる

【子どもの好奇心が爆発する親の接し方】の連載は、全4回。

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※公開日までリンク無効

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かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。