100万部の絵本『どうぞのいす』の画家、柿本幸造さんが描く「りんごの絵本」

こどもの本のコーディネーター絶賛のこの1冊!【さちこ&くみこの空想書店#01】

子どもの本コーディネーター:沢田 幸子

さちこ&くみこは、大のなかよし。子どもと、子どもの本が大好きです。
こんな本屋さんがあったらいいなと二人で話しているうちに、できてしまいました--それが、「さちこ&くみこの空想書店」!

・空想だから、いまは買えなくなってしまった本もときどき登場します。(図書館や古本やさん、おじいちゃん、おばあちゃんの家でさがしてみてね)

・空想だから、二人のほんとうのお気に入りだけを置いてあります。


・空想だから、いつでもオープンしています。
 
今回は、元幼稚園の先生、そしていまは、こどもの本のコーディネーターとして活躍しているさちこさんが、ぜひ、みなさんに手にとっていただきたいの、という「りんごの絵本」をご紹介します。
(イメージ写真/photoAC)

「りんごの絵本といえば、これです」(さちこ)

さちこ「絵本は、季節にあわせて読むと、楽しみが広がるし、子どもも旬に興味が出ますね。10月は、りんごがいちばんおいしい季節。赤くてまるくて、子どもたちも大好きなりんご。そのまま食べてもおいしいけれど、りんごジャムはすぐに簡単にできて、おいしいですよ!」

りんごが出てくる絵本がたくさんありますが、さちこさんのおすすめは、こちら。
『じゃむ じゃむ どんくまさん』
文:蔵富千鶴子 絵:柿本幸造 至光社
「カバー絵に合った布をしくだけで、本がイキイキうれしそうに見えますよね。本の背が並んでいるよりも、お子さんも興味をもってくれるかも。おうちでも試してみてくださいね」(さちこ)
 
(『じゃむ じゃむ どんくまさん』より)
※中面のご紹介は至光社の許諾を得ています
「一番好きなシーンです。りんごを煮て湯気がもやもや、あったかーい気持ちになります」(さちこ)
 
さちこ「本を閉じたら、りんごジャムを作りたくなりますよ。どんくまさんが大きなおなべでりんごをグツグツ煮ているシーンは、読みながら、私も、大きな木のスプーンでぐるぐるかき混ぜている気分になります。

だんだん煮えて、ふわぁ~んと甘い香りが画面いっぱいに広がって湯気もりんご色、思わず鼻を絵に近づけて匂いをかぎたくなりそうに!」

ーーほんとにおいしそうです! 

さちこ「『どうぞのいす』で有名な、柿本幸造さんの絵は、いくつもの色が重なり深い暖かい色になって心に染み入ってきますね。この絵本は、色がほんとうにきれいに出ているんです。

どんくまさんは心やさしく、いつも一所懸命。だけど時々失敗してしまう、大きいけど可愛いくまなの。うさぎの子どもたちに大人気。私の町にも来てほしいなあ、どんくまさん」

ーーさちこさんは、生前の柿本幸造さんとも交流があったとか。

「児童書コーナーのウインドウで、柿本さんの絵本の飾りつけするのがとても楽しかったです。

どんくまさん、うさぎたちを布で作るのも、とても楽しみで。人形劇にして、子どもたちに見せたりしたの。ゲストに、柿本さんに出演していただきました。

柿本さんは、いつも穏やかで、とても謙虚でいらして、子どもの気持ちに寄りそってやさしい心づかいをなさる方でした。私にとって宝物の思い出です」

ーーと話しながら、りんごをさくさく切って、煮はじめたさちこさん。いいにおい!
空想書店には、キッチンもあるのです。

さちこ「はい、どうぞ。このレシピなら、思いたったときにすぐ作れちゃいます」
りんご半分で作れて、とっても簡単!

さちこさん直伝
りんごジャム風りんご煮


材料:りんご半分、レモン果汁小さじ1、きび砂糖大さじ2、水100cc

作り方:りんご半分を更に半分に切って芯をとり、1mmの薄切りにして小さなおなべに入れます。レモン果汁を小さじ1をかけて水100ccを入れ、中火でかき混ぜながら10分煮ます。水けがなくなったら出来上がり。
 
 
ーーさっぱりで、おいしいですね。

さちこ「甘さ控えめのりんご煮ね。そのままでもおいしいし、トーストにのせたり、ヨーグルトやアイスクリームにのせたりして、楽しんでます」

りんごの絵本 こちらもおすすめ!

『りんごがたべたいねずみくん』
作:なかえ よしを 絵:上野 紀子 ポプラ社
「ねずみくんも、友だちも、頭がいいなあ。何回読んでも、また読みたくなります!」(さちこ)
『りんごのき』
文:エドアルド・ペチシカ 絵:ヘレナ・ズマトリーコバー 訳:うちだりさこ 福音館書店
「移りゆく自然の中で、やさしく守られながら育っていくりんごの木。主人公の男の子の質問を読んでいると、抱きしめたくなります」(さちこ)
 
ーー次回は、くみこさんですね。
さちこさん、なにかメッセージのこしておいてください。

くみこさん、教えて!

昔話を暗記したいです。
どうしたら覚えられますか?


さちこより


(被災地など、本がない場所でもお話ができるように、お話をおぼえたいのだそうです。お話をおぼえていたら、ねむいときに、おふとんのなかでお話をするにもいいかもしれませんね)
 
次回は、書店で長い間児童書の担当をされていた、くみこさんのおすすめをご紹介します。
おたのしみに!
◆関連ページ
さわだ さちこ

沢田 幸子

Sachiko Sawada
子どもの本コーディネーター

幼稚園教諭、書店勤務を経て、出版社に勤める。書店の児童書コーナーを飾りつけを20年間続け、全国をまわる。 フリーになった後、カフェや小さな書店、ショッピングモールなどで絵本のイベントや作家と音楽のコラボなどの企画を続けながら、学校の図書館を楽しいスペースに変身させるため、司書や司書ボランティアに向けて、身近にある材料でディスプレイするワークショップを続けている。 猫が好き。著者に『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』(講談社)などがある。               

幼稚園教諭、書店勤務を経て、出版社に勤める。書店の児童書コーナーを飾りつけを20年間続け、全国をまわる。 フリーになった後、カフェや小さな書店、ショッピングモールなどで絵本のイベントや作家と音楽のコラボなどの企画を続けながら、学校の図書館を楽しいスペースに変身させるため、司書や司書ボランティアに向けて、身近にある材料でディスプレイするワークショップを続けている。 猫が好き。著者に『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』(講談社)などがある。