【新・絵本雑誌「さがるまーた」特別対談】絵本編集者 土井章史×筒井大介 絵本の来し方行く末

絵本編集者の土井章史さんと筒井大介さんに、 絵本のことをたっぷり語っていただきました。

──「子ども」って?

土井 うーん……。とてつもなく面白い人たちですよ。なんていえばいいの。……“美しい”っていうのより、子どもの価値観でいうと。“面白い”がやっぱり優先するんだよ。その感じは、絵本にもあてはまるなあ、と思ってる。

筒井 僕の場合は大人になって絵本面白いってなってるから、わかんないんですよ。子どもって言われても、ひとりひとり、人格も、なにもかも違うから。やから、あんまり「わかる」って思ったらだめだろうって。わかるわけない、子どもに限らず、みんな他人やから。でもやっぱり“子ども”っていうのを設定したほうが、絵本っておもろいだろうって気はするんですよね。どうしようってなったときに、とりあえずわかる“子ども”は、子どものころの自分しかないっていう。自分がどういう子どもだったかって思い返すと、人見知りで社交性がなくて。だからまあ、一人なんですよね、気持ちとしては。そういうところで、漫画とか、音楽とか、自分が出会ったようなものが、一人の自分に、友達なんかいなくたってなんとかなるとか、今見えてるものがすべてじゃないとか、そういう世界を見せてくれてたから、子ども時代、やっていけたんだろうって思う。だから自分がつくる絵本も、子ども時代の自分のような子どもたちに届くといいなと思っています。
土井 そうね、僕の考えとはちょっと違ってて。子どもっていうのは結局、「うわあ」とか「きゃー」とか、体が反応する表現を、面白いとする人たち。端的にいうと、まだ頭ではなくて、体が大切な人たち。そして体で感じてる。そういう人たちが喜ぶ絵本を、まあ「子どものエンタテインメント」っていうふうに考えてる。で、もちろん大人のなかにも子ども部分っていうのがちゃんとあって。それを呼び起こしてくれる絵本っていうのが、やっぱ重要だと思うんだよね。筒井さんがやろうとしてるとこは、そういう感じだって気がするんだけど……。
筒井 うーん……。どうでしょう。自分がその作家に何を見出してるかにもよるっていうか、自分の表現じゃないから、絵本って。編集者として作ってるときは、実はものすごい無、なんですよね。“わたくし”がない状態で、絵本がどうなるといいか、ってところが重要で。だけどまず、身体的な快感があってほしいっていうところはありますね。この話が、子どもにはわかんないだろう、とか、別にいいんですよ。めくったときの色の変化とか、「この言葉の響きと絵の絡みが気持ちいい」とかでもう、十分に楽しんだことになるし、最初はそうやって受け取っていたのを、後に見たら「こんなこと言ってたんや」っていう、それ両方、絵本をおんなじように楽しんでるって思うので。さまざまな楽しみ方ができるということは、その絵本の懐が深いということ。じゃあそんな絵本をどう作るのかと考えたときに、アイデアが大切だと思うんです。アイデアをどう形にして展開するか、そこがシンプルにうまくいっていれば、こんな内容のものが子どもにいけるのかって思うようなものが、いけるようになったりするので。

土井 うーん……。たしかに、わからないわけではないんだけど、ちょっと抽象的すぎて……ふふっ(笑)。その、アイデアっていうのは、どうやって見つけるの?

筒井 や、たとえば、えっと……
筒井さんの考える、絵本のアイデアとは……?

続きは11月30日(木)発売「さがるまーた」誌面にて、たっぷり掲載しています。ぜひお手に取って、白熱の対談の続きを読んでみていただけたら幸いです!

さがるまーた
発売日:2023/11/22
価格:3300円(税込み)

撮影(対談)/恩田亮一(講談社写真映像部)
29 件
どい あきふみ

土井 章史

Akifumi Doi
フリー絵本編集者

1957年広島県生まれ。トムズボックスを経営。絵本や絵本関連書籍をあつかう。 担当した絵本に「イメージの森」シリーズ(ほるぷ出版)、『ねこのセーター』(及川賢治、竹内繭子)など、現在までに300冊を超える絵本の企画編集に携わってきた。また、絵本作家の育成を目的としたワークショップ「あとさき塾」を小野明さんとともに主宰。

1957年広島県生まれ。トムズボックスを経営。絵本や絵本関連書籍をあつかう。 担当した絵本に「イメージの森」シリーズ(ほるぷ出版)、『ねこのセーター』(及川賢治、竹内繭子)など、現在までに300冊を超える絵本の企画編集に携わってきた。また、絵本作家の育成を目的としたワークショップ「あとさき塾」を小野明さんとともに主宰。

つつい だいすけ

筒井 大介

Daisuke Tsutsui
フリー絵本編集者

1978年大阪府生まれ。絵本編集者。教育画劇、イースト・プレスを経てフリー。野分編集室主宰。担当した絵本に『ドクルジン』(ミロコマチコ)、『ぼくはいしころ』(坂本千明)、『ネコヅメのよる 』(町田尚子)、『バスザウルス』(五十嵐大介)、『てがみがきたな きしししし』(網代幸介)、『ぼく』(谷川俊太郎/作 合田里美/絵)、『よるにおばけと』(みなはむ)、『みんなたいぽ』(マヒトゥ・ザ・ピーポー/文 荒井良二/絵)など多数。『ブラッキンダー』(スズキコージ)、『オオカミがとぶひ』(ミロコマチコ)がそれぞれ第14回、第18回日本絵本賞大賞を、『こどもたちは まっている』(荒井良二)が第26回日本絵本賞を受賞。『オレときいろ』(ミロコマチコ)が2015年度のブラティスラヴァ世界絵本原画展において第2位にあたる「金のりんご賞」を受賞した。編著に『あの日からの或る日の絵とことば 3.11と子どもの本の作家たち』がある。水曜えほん塾、nowaki絵本ワークショップを主宰し、作家の発掘、育成にも力を注いでいる。京都精華大学デザイン学部特任准教授。

1978年大阪府生まれ。絵本編集者。教育画劇、イースト・プレスを経てフリー。野分編集室主宰。担当した絵本に『ドクルジン』(ミロコマチコ)、『ぼくはいしころ』(坂本千明)、『ネコヅメのよる 』(町田尚子)、『バスザウルス』(五十嵐大介)、『てがみがきたな きしししし』(網代幸介)、『ぼく』(谷川俊太郎/作 合田里美/絵)、『よるにおばけと』(みなはむ)、『みんなたいぽ』(マヒトゥ・ザ・ピーポー/文 荒井良二/絵)など多数。『ブラッキンダー』(スズキコージ)、『オオカミがとぶひ』(ミロコマチコ)がそれぞれ第14回、第18回日本絵本賞大賞を、『こどもたちは まっている』(荒井良二)が第26回日本絵本賞を受賞。『オレときいろ』(ミロコマチコ)が2015年度のブラティスラヴァ世界絵本原画展において第2位にあたる「金のりんご賞」を受賞した。編著に『あの日からの或る日の絵とことば 3.11と子どもの本の作家たち』がある。水曜えほん塾、nowaki絵本ワークショップを主宰し、作家の発掘、育成にも力を注いでいる。京都精華大学デザイン学部特任准教授。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki