低年齢化している「花粉症」

近年、子どもにも広がっている花粉症ですが、大人の場合と発症の経過や症状、対応は同様です。

子どもに使用できる抗アレルギー薬も増えてきていますが、点眼薬などは子どもが怖がる可能性があるため様子をみながら利用しましょう。

また、家の中に花粉を持ち込まないようにするなど、生活上の工夫も大切です。

花粉症を発症する子どもが増えてきているだけでなく、低年齢化も進んでいる。  写真:アフロ

1)花粉症ってどんな病気なの?

「春の花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって起こります。それらを異物として認識し、排除しようという免疫システムの過剰反応により発症します。

5歳ごろからの発症が多くなりますが、花粉の飛散量の増加とともにかかる年齢が低年齢化しており、2~3歳で発症する子もいます。

症状の特徴は大人と同様です。くしゃみ、水っぽい鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが主な症状です。小さいお子さんだと風邪の症状との見分けが難しいときもありますが、花粉の飛散に合わせて症状が出ること、目の症状を伴うことなどで花粉症と判断できます」(渋谷先生)

2)おうちでの応急処置と病院での対処法

「家庭で対処する場合は、子ども用の市販の鼻炎薬や点眼薬が主な方法です。これらを初めて使用する場合は、薬剤師さんに相談すると安心です。

病院では内服の抗アレルギー薬、点眼薬、点鼻薬などを処方します。大人と同様に眠くなる薬は日常の活動に影響する可能性があるため、近年では眠くなりにくい小児用の薬も種類が増えています。眠気と効果のバランスや内服の回数、飲みやすさなどを考えて選択することになります。

点眼薬と点鼻薬は子どもが怖がったり、うまくできなかったりする可能性があるため、医師に相談しながら、子どもの年齢や様子に応じて使用しましょう」(渋谷先生)

3)生活上の注意点とは?

「薬やマスクを上手に使いながら、花粉の時期は普段の生活から注意をしましょう。

雨の日の翌日や風の強い日は外遊びを避けたり、外出したら玄関先で花粉をはたき落としてから入室するなど、花粉との接触をできるだけ避けるようにしましょう。

また、洗濯ものは室内干しにし、部屋に花粉がたまらないようにこまめに掃除するなどの対策も重要です」(渋谷先生)

4)減感作療法について

「減感作療法(げんかんさりょうほう)とは、アレルギーの原因物質を少しずつ体内に吸収して、アレルギー反応を弱めていく治療法です。以前は定期的な皮下注射による皮下免疫療法が行われていましたが、近年、舌下免疫療法が注目されています。

1日1回、毎日、舌の下に薬を含み、1分経ったら飲み込むというのが服用の方法です。痛みがなく、自宅でできるというのが大きなメリットです。

治療期間が少なくとも3年間は必要なため、始めるには覚悟が必要ですが、5歳くらいから治療が可能ですので、花粉症の症状がつらい場合は、ひとつの対策として覚えておくといいでしょう」(渋谷先生)

前回取り上げた水ぼうそうや、今回のおたふくかぜ、花粉症など、春は何かと流行する病気が多い時期です。しかし、事前に正しい知識を持っていれば、速やかに適切な対応をとることができます。予防接種も含め、情報収集はしっかり行っておきましょう。

第4回は、子どもにとって春を元気に過ごすための「過ごし方のコツ」を紹介します。

取材・文/千葉ちえ

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しぶや のりこ

渋谷 紀子

小児科医

愛育クリニック院長兼小児科・母子保健科部長。日本小児科学会専門医・認定指導医。日本アレルギー学会専門医。東大病院小児科、愛育病院小児科...

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