「水ぼうそう」子どもの入園・入学時期に流行するコロナ以外の感染症対策

春にかかりやすい子どもの病気#2「水ぼうそう」

小児科医:渋谷 紀子

水ぼうそうのワクチンは就学までに2回接種することが推奨されています。  写真:アフロ

新型コロナウイルス感染症には依然として気をつけなければいけませんが、コロナ以前から子どもたちを困らせてきた「春にかかりやすい病気」があります。

第2回の今回取り上げる「水ぼうそう」もそのひとつで、冬から春にかけて流行する感染症です。

水ぼうそうの特徴や発症プロセス、注意点を愛育クリニック小児科・母子保健科部長の渋谷紀子先生に伺いました。

水ぼうそうは、一度感染した人はもうかかりません。また、予防接種を2回受けていれば、通常はほとんどかかりません。

ただ、水ぼうそうは感染力が非常に強く、ワクチン未接種の子どもやかかったことのない大人には簡単に感染し、免疫が落ちている人では重症化する危険があります。子どものためにも、ご自身のためにも、正しい知識を学んでおきましょう。

全身プツプツかゆくてたまらない「水ぼうそう」

水ぼうそうは全身にかゆみを伴ったプツプツができる。  提供:アフロ

1)水ぼうそうってどんな病気なの?

「正式には『水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス』というウイルスに感染することで起こる発疹性(ほっしんせい)の感染症で、0歳~10歳が最もかかりやすい年齢です。

ウイルスを含んだ咳やくしゃみなどを吸い込むことで感染する飛沫感染と、空気中に漂うウイルスを吸い込むことで感染する空気感染が主な感染経路です。

水ぼうそうは、2週間程度の潜伏期間を経て発症します。体中に赤くて小さな発疹ができ、のちに水疱(水ぶくれ)ができます。発疹にかゆみが伴うのも特徴で、プツプツが出るとともに熱も出てきます。

水疱はそのあとでかさぶたになって治っていきますが、数日に渡って新しい発疹の出現を繰り返すので、すべてがかさぶたになるまで1週間程度かかります。

予防接種を受けていてもかかることがありますが、その場合は症状が軽く水ぶくれがはっきりせず、診断が難しいことがあります」(渋谷先生)

2)おうちでの応急処置と病院での対処法

「熱はそこまで高くはならず38度程度のことが多いようです。熱で子どもがつらそうなら、市販の解熱剤を飲ませて対応します。また、発疹のかき壊しを防ぐために子どもの爪は短く切り、赤ちゃんなら手にミトンをはめてあげましょう。

病院では主に抗ウイルス薬とかゆみ止めの塗り薬が処方されます。抗ウイルス薬は、発症から48時間以内に服用すると症状が軽くなるので、水ぼうそうかもと思ったら早めに受診しましょう。かさぶたになったあとは、それがきれいに治るまではさらに1週間程度かかります」(渋谷先生)

3)集団生活への復帰タイミングとは?

「学校保健法により、すべての発疹がかさぶたになるまで登園・登校は停止になります。

感染力が強い病気なので、病院では通常、再度受診を求め、再診察で治癒を確認してから集団生活への復帰許可を出します。感染を広げないためにも、医師の指示に従いましょう」(渋谷先生)

4)帯状疱疹について

「水ぼうそうのウイルスは治ったあとも体内にとどまっていますが、通常は免疫力によって活動が抑えられています。しかし、それが加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下して体内のウイルスが活動を再開すると、帯状疱疹というかたちで発症します。

帯状疱疹は皮膚に帯状に水疱などの発疹と強い痛みを生じる病気で、50歳以上での発症が増加しています」(渋谷先生)

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