入園や入学、進級など、春は環境の変化がある時期。新しい生活が始まるのを前にして、子どもたちはみんな胸を躍らせているはずです。しかしその一方で、親としては集団生活の中でかかる病気が心配です。
子どもの新しい生活をできる限りサポートをしたいと思うのが親心。新型コロナウイルス感染症には引き続き気をつけなければなりませんが、そのずっと前から子どもたちを困らせてきた春にかかりやすい病気とその対応策について、愛育クリニック小児科・母子保健科部長の渋谷紀子先生にお話を伺いました。
第1回目は、集団生活の中で子どもが感染しやすい「溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)」について解説します。
春、子どもたちはちょっと疲れ気味!?
新しい生活が始まる春は、子どもにとっても親にとっても、変化のある時期です。入園、入学による変化は特に大きいものですが、進級もそれらに負けず劣らず生活に緊張感を与えます。
「新しい友達、新しい先生との出会いなど、なにかしらのイベントが起こります。子どもの中には自分でも気づかないうちに、心や体に負荷がかかっている子も少なくありません。
また、新しい集団生活に入ることで、まだ免疫のできていない新しいウイルスに出合う機会が増えるため、新しい環境によるストレスと時期が重なって、病気にかかる子が多く見られるようになります」(渋谷先生)
変化する生活や病気に対して終始、身構える必要はありませんが、春にかかりやすい病気の特徴を知って対策をしておくことが大切だと渋谷先生は話します。
「集団生活に入るとかかりやすい病気のひとつが感染症です。一般的なウイルスによる『風邪』にはワクチンはありませんが、春に多いといわれる水ぼうそうやおたふくかぜにはワクチンの接種が非常に有効です。
水ぼうそうは現在、定期接種(公費)なので多くの子どもが接種済みですね。おたふくかぜは任意接種で自己負担になるので、接種していない子どもがいるかもしれません。
ワクチンは感染を予防してくれるほか、感染症に伴う合併症の予防にもなるので、予防接種があるものについてはぜひ接種することをおすすめします。
水ぼうそうとおたふくかぜのワクチンについては、就学までに2回接種を済ませることが推奨されています」(渋谷先生)
ワクチン接種に関して子どもへの影響が心配な場合は、医師に相談して、十分な説明を受けてから接種すると良いでしょう。
コロナ禍で子どももマスク着用
そもそも飛沫感染する感染症は減っているのでは?
「コロナ禍で子どももマスクの着用が推奨され、手洗いや手指の消毒、距離を置いた接触など感染対策をしています。こういった対策により飛沫感染の頻度は少なくなっていると考えられますが、病気はなくなっていません。
子どもの場合、マスクをきちんと着けられなかったり、お友達と夢中で遊んでいる間に外れたりしてしまうこともあります。また、きょうだいがいる場合は特に接触が密になりやすく、家庭では活発な子どもたちの動きを抑えるのは難しいでしょう。
子どもの感染症対策に関しては完璧に行うのは難しい面もありますが、お子さんの年齢に合わせた対応を考えながら、可能な限り、手洗いやマスク着用などの習慣づけを心がけましょう」(渋谷先生)