2021.11.18

くるみの中には何がある?『くるみのなかには』の読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

読み手 ーーおはなし隊隊長 加藤恵里

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

「くるみのなかには なにがある?」
始まりのひとことから、それはそれは素敵な世界が広がっていきます。固いくるみのなかには、いったいどんな世界があるのだろう。そして……。
この本は、子どもから大人まで楽しめる絵本です。けれども、文章が少ないので、読み聞かせするのが難しいと感じるかもしれません。こつは、読むときに「間(ま)」をじゅうぶんとるようにすること。美しい絵をながめる時間をとるように心がけるといいと思います。私は、くるみを愛おしいと思いながら読んでいます。

『くるみのなかには』
作:たかおゆうこ 講談社

ページをめくり、「ゆらしてごらん」
やさしい気持ちで、静かに明るく心をこめて、この最初の言葉を届けます。

「もし」の後、一度きります。そして、効果的に「シャリン チリン……と いいおとがしたら」を読みます。少し間をおいて、ページをめくります。

「なかには ちいさな ちいさな たからもの」
間をおいて、くるみのなかの宝物を見せます。
ページをめくり、「みつけてごらん」

「ゆらしてごらん」より、少し元気に声をかけるように読んで、間をおきます。りすが登場しますので、りすにも気持ちを寄せて読みます。

みつけてごらん
『くるみのなかには』より

ページをめくり、裁縫箱をみせます。
「ちいさな はりさし ちいさな はさみ」は、裁縫道具ひとつひとつをていねいに伝えます。「よくみてごらん」やさしく静かに読みます。

「もし、ちいさな ドアが ついてたら」
ここで、絵本の世界に入っている子どもたちが、自分の想像したくるみの中身を声を出して言ってくれたりします。そんな時は、にっこり微笑み、

ページをめくり、おだやかに暮らすちいさなおじいさんとおばあさんを紹介します。

くるみの中で暮らすちいさなおじいさんとおばあさん
『くるみのなかには』より

「みみに あててごらん」優しく静かに読みます。
「もし カラーン カラーン……と かすかに おとが きこえたら」は次に大きな絵がでますから、それを心にとめて読みます。

ページをめくり、おおきなくるみの絵をじっくり見てもらいます。ときを知らせる鐘の音が感じられるように、ひろくおおらかに。

次の雪のページは、効果的で大切な役割を持っているので、冬の街に住み、聞き手と一緒に雪の日を知っているような、くるみと冬を過ごしているような気持ちで読みます。

「ちいさな ちいさな ちいさな ひとたちは」で、「ちいさな」が三回続きます。三回目はトーンを変えて読みます。次のくるみは、中を見ないのでしっとりおもい重さを感じるように読みます。

「そっと」は、そっと読みます。大切に土に埋める気持ちで。水をすって根をおろすところは、力を得ていくように、光に向かって芽を伸ばすところは、明るく読みます。

大きくなったくるみの木のページでは、立派な木に育ったことや花が咲くのを喜ぶように読みます。秋になったら、たくさんの実をみのらせたことがうれしいという気持ちで読み、「ぽとん ぽとん」は、一個一個の存在感が感じられるように読みます。

『くるみのなかには』より

「あたらしいくるみ! たくさんのくるみ!」は、ぱあっと明るく読みます。最後のページの、最後の一行の読み方が最もむずかしくてたいせつかもしれません。

終わってしまうのではなくて、くるみと、この絵本の読み聞かせでくるみに想いを寄せた聞き手が、一緒に新しい一歩を踏み出すように、あたたかい思いを育てていくような喜びを感じましょう。

●今回読んだ本

『くるみのなかには』
作:たかおゆうこ 講談社

●プラス1冊

ひよこちゃんがねずみさんに「だいすきよ」。ねずみさんはあひるさんに「だいすき」。あひるさんはうさぎさんに……。

『ねえねえ あのね』
作:しもかわら ゆみ 講談社

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう...