子どもにかんしゃくを起こさせないようにするには? 子育ての専門家が回答

こんなときどうする? 子育てQ&A#42「かんしゃくを起こさせないようにする方法は?」

教育学博士:渡辺 弥生

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イヤなことがあると、地団駄を踏んだり、床に寝転がったりして大泣き!

これがたびたびだと、ママのほうが泣きたくなってしまいますね。

とくに、自我が出てきたのに、言葉や理解力が未熟な1~3歳は、かんしゃくが激しくなりがちです。

叱るのは火に油を注ぐようなもの。子どもにプラスになる対応法を試してみましょう。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「かんしゃくをおこさせないようにする方法は?」(3歳・男の子)

かんしゃくをおこさせないようにする方法は? 写真/Adobe Stock

「わがまま」で泣いているのではありません

1~3歳は、かんしゃくが激しくなりがちです。  

見方によれば「わがままを通すために泣いている」ように思えますが、けっしてそうではありません。

子ども自身、なぜだかわからないのに「イヤ!」という気持ちが体中にわいてきて、いっぱいいっぱいになってしまっている状態なのです。

ママも大変ですが、子どもも辛いのです。

そう考えて、成長にプラスになる働きかけをして、この時期を早く卒業させてあげたいですね。
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そのとき、その場での接し方のポイント

かんしゃくの程度は個人差が大きいものですが、ひっくり返って泣くような子はケガをすると大変。

まず、周囲の危険なものを取り除くことが先決です。

また、大泣きの最中に叱るのは火に油を注ぐようなもの。

安全を確保したら、クールダウンを考えましょう。

屋外なら、抱きかかえてでも人の少ない場所に移動して泣きやむのを待ちます。

そして、興奮が収まってきたら、次の二つのポイントを参考に対応してあげましょう。
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ポイント1 不快な気持ちは、言葉で伝えたらいいことを教えていく

子どもの気持ちをちょっと想像して、「お腹がすいてイライラしたのね」「おもちゃをとられて悲しかったね」「これがうまくできなくて悔しかったのね」などと、理由を言葉にしてあげましょう。

何度も代弁してもらっているうちに、だんだん「泣かずに、ママみたいに言葉でいえばいいんだ」ということがわかっていきます。

ポイント2 不快な気持ちの解消法を教えていく

将来、すぐにキレたりしないためにも、不快感の解消法を身につけることは大切。

今はママがフォローして、その方法を伝えていきましょう。

◆空腹、疲れ、眠いなど理由がわかるときは、原因を取り除いてあげる。

◆興味をもつことやおもしろいことをいって気分転換をさせてあげる。

◆希望はかなえられなくても、代替案を考えて、うまく提案してみる。

もし、少しでも子どもが自分から気持ちを言葉にしようとしたときは、たくさんほめてあげてください。

大変ですが、成長を支援するつもりで

対策を試しながら、効果があったことは覚えておき、そのつどその作戦を使ってみるとよいでしょう。

かんしゃくをよくおこすお子さんのママは大変ですが、これもあとしばらくのこと。

その特性を理解して、成長を支援するつもりで、二つのポイントをおさえた対応をしていきましょう。

今とは逆に感情コントロールが上手な子に育つはずです。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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