子どものしつけや早期教育 いつ始めるのがベスト?専門家が答えます
こんなときどうする?子育てQ&A#22「子どもになにかを教えるベストタイミングは?どう見分けたらいい?」
2022.02.28
教育学博士:渡辺 弥生
では、効果的に子どもに教えるベストな時期って、いつなのでしょうか?
「礼儀やマナーなどが身につきやすくなるのは何歳くらい? 小さいうちから厳しくする必要は感じませんが、タイミングをのがして、わがままになっても困るので気になります」(2歳・男の子)
早いほうがいい?それとも機が熟してから?
一つは、成長の旬(レディネスとか準備状態)を待ってはじめるのがよいという考え。
一方で、早くはじめたほうができるようになるのも早く、成長を待つのはもったいないという考えもあります。
ただ、成長の旬を見極めるのは難しいし、早くはじめても子どもの興味が伴わずに頓挫することもないわけではありません。またそれによって、伸びるはずだった別の能力を阻害してしまう可能性もあります。
こういうことから、最近は、早期にとか成長の旬にというよりも、「関心ややりたがること」を大事にしたバランスのよい対応がよいという考えが主流になっています。
「子どもに水泳や音楽など、なにか教えようと思ったら、やはり早いほうがいいの? なにを目安にはじめたらいいのでしょうか?」(2歳・女の子)
ベストな教えどきは、その子、その子で違います
結局、その子その子で教えどきは違うので、「○歳になったから教える」ということではないのです。
ただ、だからといって、まだわからないし、できないから教える必要はないと考えるのも間違いです。
ここがバランスが大事という点です。
毎日、子どもを見ていると、「こんなことが好きなんだ」「やりたがるな」と感じることがあるはず。
それに気づいてあげ、少し早いと思っても、遊びや体験に結びつけてあげるのがベストな教え方といえるのです。
「最近、できないことを自分でやりたがって困ってます。着替えにつきあってみたけど、やっぱり無理。無駄な時間をとられたくないと考えるのは間違ってる?」(3歳・男の子)
「見る」「説明される」「認められる」が学びのポイント
家族のすることを〈見る〉、やりたがったら「こうするといい」と〈説明される〉、うまくできたら「できたね」と〈認められる〉、この3つが学ぶためのポイントです。
理解する力や覚える力、コミュニケーションの力は、徐々に発達してくるので、目の前の子どもを見て、その子にとっていちばんわかりやすい方法で教えてあげましょう。
1~3歳は、できないことがいっぱいあります。ただ、自発的になにかをしたがる年齢です。
自分でやりたいという動機は学びのパワーになります。
今はすべての下地作りの時期ととらえて、子どもがやりたがることはできるだけ工夫して挑戦する機会を作ってあげたいですね。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。