「静かだな 床にティッシュと 空の箱」~犬山紙子撰★げんき子育て川柳~パート4

3000を超える力作が殺到! 秀逸な子育ての悲喜こもごもに共感の嵐!

木下 千寿

~犬山紙子撰★げんき子育て川柳~パート4

第4回げんき子育て川柳
日々、子育てに奮闘する中でさまざまなお悩みに直面しているパパ&ママ。

子育てにまつわる悲喜こもごもの感情を詠んだ“子育て川柳”を『おかあさんといっしょ』『いないいないばあっ!』『げんき』にて募集したところ、3000通以上の応募がありました。

テレビや雑誌などで広く活躍しつつ、6歳の娘さんの子育て真っ最中というイラストエッセイスト、コラムニストの犬山紙子さんを選者にお迎えし、届いた秀作の数々をご紹介していきます。

犬山さんは実は、人気番組「プレバト!」の俳句タイトル戦でも活躍されていますよ!
【犬山紙子Profile】

イラストエッセイスト、コラムニスト。2011年、マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。2014年に結婚、2017年に第一子となる女児を出産後は、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「こどものいのちはこどものもの」を立ち上げ、社会的養護を必要とするこどもたちへのクラウドファンディング「こどもギフト」メンバーとしても活動中。

子育て川柳テーマ⑭「#イヤイヤ期大変すぎ」

「イヤイヤ期 私はできない ストライキ」
犬山さん:イヤイヤ期は思い出すだけでもつらいな~。「イヤイヤ期 私はできない ストライキ」(ペンネーム:まさぼの)なんて本当にそうで、「私がイヤって言いたいわ……」という気分でした。「なんでやねん これ嫌! あれ嫌! どないやねん」(ペンネーム:?)は、関西弁ならではのリズムがとてもいいですね。韻を踏んでいるのも、上手だなと思いました。
「なんでやねん これ嫌! あれ嫌! どないやねん」
犬山さん「イヤイヤ期 シールは食べるが 飯食わず」(ペンネーム:ゆずぽん)は、「シールを食べる」という具体性が入っているのがポイントですね。やっぱり、具体的な言葉が入っていると、情景が浮かびやすくなるんです。ウチの娘もごはんをぜんぜん食べてくれなくて、困らされました。保育園では食べているのに、家では食べない。“周りの目があるところでは、食べる”という社会性があるんですよね! こっちは「保育園で食べているの、知っているよ!?」と思うんだけど、家でのごはんは「イヤ!」をやられる。手の込んだ料理ほど「イヤ」と言われて、夫が傷ついていました。
「イヤイヤ期 シールは食べるが 飯食わず」
ちなみにウチの娘のイヤイヤ期は、かなりすごかったですよ! 娘が2歳のころ、夫と娘とで新幹線に乗ったときがあったんですが、娘は「イヤ」じゃなく「ちがう」という言い方だったんです。泣き止まずに、新幹線のデッキでずっと「パパ、ちがう、ちがう」というのを夫がなだめていたところ、その様子を見かけた人が夫を誘拐犯だと勘違いしたらしくて! 私は別の場所で仕事をしていたのですが、警察の方から確認の電話がかかってきて、もうびっくりでした(笑)。子どもを守ろうとしての行動なので、警察に通報してくださった方には感謝していますが、そう勘違いさせてしまうほどの娘のイヤイヤ期のパワーというのが、思い出に残るエピソードになりました。

子育て川柳テーマ⑮「#パパかわいそう」

「オムツぬぎ なぜそこ座る パパの枕」
犬山さん:「オムツぬぎ なぜそこ座る パパの枕」(ペンネーム:さったんママ)の句は、パパの悲哀が感じられて、とても川柳っぽいですね。
「オムツぬぎ なぜそこ座る パパの枕」
「『パパ嫌い』 マジで傷つく 5秒前」
犬山さん:「『パパ嫌い』 マジで傷つく 5秒前」(ペンネーム:ビーチボーイ)の詠み手さんは、きっと我々の世代ですね! しかも実際は、もうすでに傷ついているはず(笑)。
「レジ遊び 『30円です』 パパの値段」
犬山さん:「レジ遊び 『30円です』 パパの値段」(ペンネーム:よもだ)も、子どもはもちろん30円の価値を分かっているわけじゃないんだけど、微妙に傷つくというのが面白いところ。ウチの娘はパパとママ、どちらかがいいということはなく、今のところの割合は半々という感じかな。ただ私には優しくて、パパには辛辣ですね。私の言うことは聞くけれど、パパの言うことは聞かない。パパが自分に優しいのが分かっているんですよね。よく見ているなぁと感心します。

子育て川柳テーマ⑯「#静かなときはいたずら中」

「静かだな 床にティッシュと 空の箱」
犬山さん:「静かだな」で始まる句も多いですね! 中でもいちばんいいなと思ったのは、「静かだな 床にティッシュと 空の箱」(ペンネーム:かすみん)。“地獄”や“大惨事”と書いていないんだけど、地獄絵図が起きていることが伝わるのが川柳っぽい表現の仕方だなと思います。
「静かだな 床にティッシュと 空の箱」

子育て川柳テーマ⑰「#徒労感」

「欲しがった バナナを渡すと 投げ捨てる」
「おむつ替え 終わった直後に きばってる」
「食べたいと 言ったイチゴを 握りつぶす」
犬山さん:「欲しがった バナナを渡すと 投げ捨てる」(ペンネーム:ママばなな)、「おむつ替え 終わった直後に きばってる」(ペンネーム:ちびこ)「食べたいと 言ったイチゴを 握りつぶす」(ペンネーム:あかちゃんまん)の3連チャンには大笑い! どれも1歳児の親御さんの句で、1歳児ならではの本能で生きている様子が目に浮かびます。とくに食べ物系は「食べたいんだ」と思って渡したら、感触を楽しみたいという欲求のほうだったのか……という、子どもらしい反応がいいですね。
「やっと寝た パキッと骨鳴り ふりだしだ」
犬山さん:「やっと寝た パキッと骨鳴り ふりだしだ」(ペンネーム:ゆーまま)も好き! 玄関のピンポンで起きるのは分かるけど、骨の鳴る音でも起きちゃうの!? というショック。そして骨が鳴るという事態に、それだけ親の身体も疲れているんだということが伝わり、疲労感のにじみ出た句だと思います。
「やっと寝た パキッと骨鳴り ふりだしだ」
次回はいよいよ大賞、次席、佳作を発表★
第5回の記事は2月27日アップ予定です。お楽しみに!
写真/岩田えり イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/木下千寿
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きのした ちず

木下 千寿

ライター

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。

福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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