昔の恐竜は『進撃の巨人』に出てきそう!?「恐竜図鑑展」で今と昔の恐竜の違いに驚愕!

ワニ・恐竜が大好きな大阪在住のMOVEラボ研究員・助手のはるきがレポート

2023年5月14日まで「兵庫展」が開催されていた兵庫県立美術館にて。

特別展「恐竜図鑑」東京展は、7/22まで上野の森美術館で開催中!

太古のロマンあふれる恐竜絵画の世界を紹介する特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」が、2023年7月22日(土)まで上野の森美術館(東京都台東区)で開催中。本展は恐竜など古代生物を描いた「パレオアート」の世界に着目した異色の展覧会。

19世紀の恐竜絵画黎明期の奇妙な復元図から、20世紀に活躍した恐竜画の2大巨匠、チャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンらによる記念碑的作品や、漫画・玩具などのサブカルチャーからファインアートを展示。

今回は、大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが、2023年5月14日(日)まで兵庫展が開催されていた「兵庫県立美術館」の様子をレポートします。

ワニの研究を自身でも行う、MOVEラボ・助手のはるきがレポート!

MOVEラボ研究員・はるき(中1)
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MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。

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昔の恐竜と今の恐竜、比べてみると面白すぎる!

学校の廊下や駅で見かけたポスターを見て、「行きたいなー」と思っていたところ、保育園からの恐竜好き友だちからお誘いがあり、一緒に行ってきました。久しぶりに恐竜の話で盛り上がったのもあり、とても楽しい美術展でした。

僕が行ったのは、上野の森美術館に巡回される前に兵庫県立美術館で開催されていた「兵庫展」。パンフレットに「イケてた頃の俺。」とキャッチフレーズが書かれていた、この絵(下の写真参照)はかなりインパクトがありました。

これはもしかしてイグアノドン? 今の復元と全然違うけどイグアノドン? なんの恐竜なのかとても気になりました。
© Jiří Hochman - www.zdenekburian.com and Fornuft s.r.o. / Moravské zemské muzeum, Brno
この美術展の素晴らしいところは、昔の人に恐竜がどのように見えていたのかが想像できることと、貴重な絵が一挙に見られたことです。

恐竜研究の歴史が絵を見ればわかる!

かなりの展示数でしたが、どれも面白く見られます。僕が特に気になった絵を10点に絞って紹介します。
①「ジュラ紀の海の生き物」1850年ごろ
この絵は、プレシオサウルスやプテロダクティルス、イクチオサウルスが描かれています。イクチオサウルスの目がギョロギョロしていてかわいい。アンモナイトが空を飛んでる!? こんなふうに考えられていたのかとびっくりしました。

②「ウォーターハウス・ホーキンズの絶滅動物図」
ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ「ウォーターハウス・ホーキンズの絶滅動物図」1857年ごろ ロンドン自然史博物館
この絵にはプレシオサウルス、イクチオサウルス、ワニのようなテレオサウルスなどが描かれています。絵の左下のほうにはヒレ部分の骨化石のようなものもありました。

プレシオサウルスもイクチオサウルスも海棲(かいせい)ですが、この絵は陸に上がってる様子が描かれていたので驚きました。何がどうなって陸にいたと考えられていたのか興味深いです。

③「白亜紀の生き物―ニュージャージー」
ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ「白亜紀の生き物―ニュージャージー」1877年 プリンストン大学地球科学部、ギヨー・ホール
この絵は衝撃的でした。完全に二足で直立してるように見える恐竜がいました。

ハドロサウルスが襲われているところや、コモドドラゴンのように組み合ったりカンガルーのように立って戦っている様子が描かれていて、『進撃の巨人』のような少し不気味な恐竜の絵が印象的でした。

④「1882年、ナッサウ宮殿の聖ゲオルギウス礼拝堂で行われたベルニサール最初のイグアノドンの復元」
レオン・ベッケル「1882年、ナッサウ宮殿の聖ゲオルギウス礼拝堂で行われたベルニサール最初のイグアノドンの復元」1884年 ベルギー王立自然史博物館、ブリュッセル
全身骨格の組み立ての様子が描かれていました。僕は全身骨格が好きなので、まじまじと見てしまいました。
ほぼ完全に近いイグアノドンの化石が大量に見つかったことにより、今まで鼻の先に三角の角があった四足歩行復元から、前足に鋭い親指を持った二足歩行に変わっていったそうです。よく見たら前足に尖った骨があるのがわかります。

⑤「ステゴサウルス」
チャールズ・R・ナイト「ステゴサウルス」1901年 アメリカ自然史博物館、ニューヨーク
この展覧会の作品には、イグアノドンが多いと感じましたが、ステゴサウルスも多かったです。今の図鑑に載ってるステゴサウルスと比べると、首や尻尾も全体的にも太いような気がします。

ステゴサウルスの尻尾のスパイクも数がまだはっきりとわかっていなかったのか、8本あるものもありました。(今は4本)そういった今では研究が進んでわかったことが絵で残っているのがとても面白かったです。

⑥「ダンクルオステウスとクラドセラケ」
ズデニェク・ブリアン「ダンクルオステウスとクラドセラケ」1967年 ドヴール・クラーロヴェー動物園
僕はダンクルオステウスが好きです。ですので、この絵を見たときにすぐ、今と尻尾が違うと思いました。今の復元はサメのような尻尾の形をしています。ダンクルオステウスは今も体のほうは実はよくわかっていないそうで、本当はこんな形をしていたかもしれない。とても面白いです。

⑦「タルボサウルス ・バタール」
ズデニェク・ブリアン「タルボサウルス ・バタール」1970年 モラヴィア博物館、ブルノ
獣脚類が二本脚で立っている絵が出てきました。タルボサウルスってこんなのだっけ? と思ってしまいますが、個人的にはとても格好良くて好きです。

⑧「イグアノドン・ベルニサルテンシス」
ズデニェク・ブリアン「イグアノドン・ベルニサルテンシス」1950年 モラヴィア博物館、ブルノ
本展のパンフレットで「イケてた頃の俺。」というキャッチフレーズがついている、こちらの絵。獣脚類のゴジラスタイルと呼ばれる2本の脚と尻尾で支えている立ち姿です。

少し前まではこのゴジラスタイルが主流だったと聞いて驚きました。今の獣脚類の前傾姿勢は意外と最近の研究で見直されたことを知りました。

⑨「メガロサウルス」
ニーヴ・パーカー「メガロサウルス」1950年代 ロンドン自然史博物館
これは前傾姿勢になってきていますが、今の恐竜と比べるとまだ何かが違うような……。足が長い気がします。走るのが速い恐竜と想像して、こんなに前傾姿勢に描かれたのかなと思いました。たしかに速そう……!

⑩「篠山層群産動植物の生態環境復元画」
小田隆「篠山層群産動植物の生態環境復元画」2014年 丹波市立丹波竜化石工房
兵庫県の丹波竜が発見された近くの博物館で飾っているこの絵を見ました。これは篠山層群で発掘された化石を元に描かれていて、博物館で聞いたときには、今後もっと違う種類の化石が発掘されたら、この絵に追加されていくかもしれませんとのことでした。

タンバティタニス・アミキティアエ(丹波竜)が生きていた時代はこんな地球だったのかとよくわかる絵で、とても素敵だなと思いました。

恐竜の研究の進化がみられて、とてもおもしろい!

荒木一成「イグアノドン、クラシックスタイル」2002年 作家蔵
図鑑で、恐竜研究が進めば復元が変わるのは知っていましたが、美術館で絵を見て感じたのは初めてでとても興味深かったです。恐竜の化石が発見された初期のころは、どんな生きものなのかまったくわからなかったはずなのに、よくここまで恐竜の形をイメージして絵を描けたなと驚きました。

恐竜図鑑展は兵庫県立美術館で行われていた「兵庫展」はもう会期が終了していますが、現在は上野の森美術館で「東京展」が開催されています。

今回僕は、恐竜仲間の友だちと一緒に言って、今と昔の恐竜のちがいを話しながら鑑賞できたので、いつもと違った楽しさもありました。恐竜好きの人はもちろん、恐竜をよく知らない人でもとても楽しめる展示ですので、開催期間中に是非足を運んでみてください。
特別展「恐竜図鑑─失われた世界の想像/創造」東京展

会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
会期:2023年5月31日(水)~7月22日(土)会期中無休
https://kyoryu-zukan.jp/