ゾフィーの役割とその必然性
そんな流れから、彼らにはなんらかの背景が必要となり、そこから「宇宙警備隊」なる存在も明らかになります。
ゾフィーとは、“叡智”を意味するギリシア語名詞のソピアー(Σοφια)のドイツ語圏における表記で、本来は女性名ですが、そのへんは金城哲夫氏の遊びでしょう。なお、『ウルトラマン』では、脚本の表記でもアフレコの発音でも、彼の名は「ゾフィ」となっています。1972年の『ウルトラマンA(エース)』や翌年の『ウルトラマンタロウ』のサブタイトルでも「ゾフィ」表記ですが、劇中での発音は明確に「ゾフィー」で、印刷媒体での表記が「ゾフィー」で統一され始めるのは、この前後のこととなります。
そして、彼の姿かたちについて。おそらく『ウルトラマン』の最終回において、宇宙恐竜ゼットン以外のキャラクターデザインを起こし、スーツを造形する時間と予算は、なかったものと思われます。そのため、ゾフィーのスーツは、にせウルトラマンに流用されていた“Aタイプ”と呼ばれるウルトラマンのボディが使用され、マスクのみが“Cタイプ”のウルトラマンのマスク原形から新規に製作されています。
その際、外見的な特徴をつけるために、ボディの赤いラインをウルトラマンとは変え、後にスターマーク、そして“ウルトラブレスター”と呼ばれることになる突起が、胸や肩に付けられます。そして、頭部のトサカ部分が黒く塗装されました。飛行用のプロップでもそこは黒くなっている(写真参照)のですが、セットの照明や映り込みの関係で黒く見えるだけと誤解されたらしく、『ウルトラマンA』での再登場において、ゾフィーのマスクはウルトラマンと同様の塗装が施されることになります。