ゾフィー 名前の秘史を初代『ウルトラマン』時代から発掘!

伝説の情報の混同 当時の「誌面」も公開!

テレビマガジン編集部

講談社刊『ぼくら』1967年8月号 特集 30大怪獣大行進(講談社所蔵)  ©KODANSHA

ゾフィーの名前 その変遷

ゾフィーには、まだまだ意外な歴史があります。放送当時の60年代、70年代には、ビデオなどは当然なく、マスコミへ配布される資料は少なく、ついでに大人の熱狂的なファンもほとんどいなかった時代でした。そんな中、『ウルトラマン』の最終回に登場する、ゼットンを操る宇宙人とゾフィーがなぜか混同される事態が起きてしまいました。

その原因は、円谷プロが作成して関係各所に配布した手書きの設定資料らしいのです。この資料には、最終回の敵が「怪獣名=ゾフィ、英文=SOURFY、通称=宇宙人」とされていて、「ゼットンを自由にあやつる」「弱点=スーパーガン」といった特性も明記されていました。そのため、『ウルトラマン』が終了しても、なお熱かった「怪獣ブーム」に乗って出版された児童向けの書籍や雑誌のいくつかにおいて、この資料が原因と思われる、情報の混同が起きることになるのです。

そのひとつが、講談社の少年雑誌『ぼくら』の記事です。1967年8月号の怪獣特集と同年11月号の別冊付録『新・怪獣百科事典』において、「宇宙人ゾーフィ」が紹介され、「宇宙恐龍ゼットンをあやつって大あばれをする」とされているのです。この「ゾーフィ」は、「SOURFY」の記述からの誤解かもしれません。

じつは、『ウルトラマン』最終回の放送前に発売された『週刊朝日』1967年4月7日号の怪獣特集のなかでも、文字のみなのですが「ゼットンを操る宇宙人、ゾフィ」という記述があります。ただ、円谷プロの資料は4月付で作成されているので、スケジュール的にはこれのせいとは言い切れず、真相は藪の中。

ただ、『ウルトラQ』が巻き起こしたブームに対応する、怪獣やヒーローを巡るメディア展開の黎明期に、関係者の熱意ゆえのこのような「事件」が起きていたことにはある種の感銘を受けます。このような行き違いですら、関わる人間たちの「勢い」と「熱意」ゆえだと感じることができるのです。

ちなみに、ゼットンを操る、ケムール人の頭部を流用した「謎の宇宙人」ですが、1968年の『ウルトラマン』の地方局に向けた番組販売のパンフレットにおいて、晴れて“ゼットン星人”と命名されることになります。

ゾフィーはこの後も、M87光線を必殺技に、『ウルトラマンA』以降、度々ウルトラ兄弟のピンチを救うために地球を訪れます。

火山怪鳥バードンとの戦いでは命を落とし、ウルトラマンタロウに招待されたウルトラ兄弟そろってのバーベキューパーティーでは、ただひとり混ぜてもらえない(この時点では、まだ人間態をもっていなかったため)など、不遇な目にあいながらも、ウルトラ兄弟の「長男」としてがんばり続けるゾフィーは、やっぱりみんなの理想の「お兄さん」ではないでしょうか。 
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テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。