【試し読み連載】5分で読める都道府県ミステリー!「江戸っ子には向かない職業」(東京都)

『日本一周ナゾトキ珍道中』[1]

粟生 こずえ

ふくめんの男

「桐久と牧野だな。逃がさねぇぞ!」

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ふたりは突然、懐中電灯の強い光に照らされた。

ややはなれた場所に、ふくめんをした男どもが3人立っている。

彼らが手に持っているのは……。

キリさん

「火炎ビンだ!」

火炎ビンとは灯油などの燃えやすい油を入れたビンに布切れで栓をしたもの。これに火をつけて車に放りこむつもりらしい。

ふくめん男のひとりがライターをカチリと鳴らすと同時にマッキーは絶叫した。

マッキー

「やめろぉぉぉぉ! この車、めっちゃバクダン積んでるんだぞ!」

ふくめんの男

「あぁ? なんだって!?」

マッキーの勢いに驚いたのか、ふくめん男の手から火炎ビンがすべり落ちた。火のついたビンがバクダン入りの段ボール箱のほうに転がっていく。

マッキーは必死の形相でどなった。

マッキー

「バカ野郎! おまえらも全員吹っ飛ぶぞ!」

ふくめんの男

「おい、いったん引き上げだ!」

絵:井出エミ

ふくめん男たちは残りのビンを手に持って今来たほうに全速力で走り出す。マッキーもかけだしたが、途中でハッとして足を止めてふり返った。

マッキー

「キリさんも! 早く!」

キリさん

「うん、マッキー、迫力あるよなぁ。いいよいいよ。」

【Q】
この箱の中身は正真正銘「バクダン」である。キリさんはなぜ落ち着きはらっているのだろうか?

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