シリーズ累計25万部超! 児童書『こども地政学』が戦争下で親子に読まれるワケ

制作者インタビュー「こども地政学」#1 ~地政学入門編~

ライター:遠藤 るりこ

子どもと一緒に世界に向き合う3つのアクション

『こども地政学』では、世界に向き合う前に、まずは世界地図で「日本」を見ることからはじめてみよう、とあります。

小さな子どもでもわかる、地政学の入門編となる3つのアクションがあります。世界を知るための第一歩として、親子で取り組んでみるのもいいかもしれません。

「まず、『①日本がどこにあるのか、世界地図を眺めてみる』ことから始めましょう。自分が住む日本が『地球のどこに位置するのか』は、基本として知っておくべきです。

『そんなの知ってるよ!』と思った人も、改めて子どもと一緒に世界地図を眺めてみると、なにか発見があるかもしれませんよ。ヨーロッパやアメリカなどとの位置関係を含めて、日本の位置を確認しましょう」(坪井さん)

次に、「『②いつもと違う地図や地球儀で、世界を見てみる』と、ガラリと印象が変わる」と坪井さん。

日本がまんなかにある、いつもの世界地図を逆さにしてみたら何が見えてくるでしょうか。

「一般的な《日本を中心に、北を上とした地図》からは見えてこない事実もあります。

例えば、中国の首都・北京を中心に東を上に表示した地図では、大きく印象が違うはずです。これを見てみると、『中国から見ると、日本は太平洋へ出るときに行く手を阻む位置にあるな』と気づいたりできます」(坪井さん)

中国の首都・北京を中心とした地図。いつもみている一般的な日本地図とはまったくイメージが異なることがわかります 引用:『こども地政学』(カンゼン刊)

同じように、地球儀でも日本の位置を確認してみましょう。『こども地政学』では、世界地図についてこう解説します。

「世界地図は丸い地球を無理やり平面にしているので、必ずしも地球を正しく表現できるわけではありません。

一般的によく目にする世界地図は『メルカトル図法』という方法で描画されています。この図法は角度を正しく表示できますが、赤道から離れるにつれ実際よりも大きく距離と面積を表示してしまうという欠点があります。

例えば、ロシアの面積(約1712万㎢)は、中国の面積(約960万㎢)の2倍弱ですが、ロシアのほうが赤道から離れているため、実際よりもっと差が開いて、大きく見えてしまうのです」(『こども地政学』より抜粋)

丸い地球を無理やり平面に表した地図と、そのまま球体で表した地球儀では印象が変わるはず。いろいろな地図や地球儀で、世界をあらためて眺めてみましょう。

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