大人の要求水準は高すぎ! 幼児期の発達障害グレーゾーンの子どものハードルを低くするべき理由

#2 「言葉が出るのが遅い」「じっとしていられない」そんな困りごとを抱えたパパママへ

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発達障害の特性がみられるものの、そこまでくっきりとは際立っていない、いわゆる“グレーゾーン”の子どもたち。発達に“でこぼこ”があるために日常生活で困りごとがある状態です。

その“でこぼこ”に気づいたり、工夫の出発点は幼児期と言われています。幼児期に起きる困りごと「言葉が出るのが遅い」や「じっとしてられない」の対応法について、『発達障害グレーゾーンの子の育て方がわかる本』(横須賀市療育相談センター所長・広瀬宏之先生監修)から紹介します。

広瀬宏之(ひろせ ひろゆき)
横須賀市療育相談センター所長。小児精神・神経科医、医学博士。専門は発達障害の支援。1995年東京大学医学部卒業。同附属病院小児科、同大学院、国立成育医療センターこころの診療部発達心理科、米国フィラデルフィア小児病院児童精神科を経て、2008年より現職。

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支援のスタートは、日々の困りごと

体の病気は診断名をつけてから治療に入りますが、発達障害では診断の有無に関わらず、発達のでこぼこによって日常に困りごとがあれば支援を開始します。

でこぼこは気になるものの、とくに困りごとはない、ということもあるでしょう。それは運よく環境とのミスマッチが起きていないからで、入園・入学などによって環境が変わると、ミスマッチが生じ、本人が悩んだり、周囲の人が困ることがあるかもしれません。心配な点があれば、作戦を立てておくとよいでしょう。

支援のポイントは、でこぼこ自体を正そうとするのではなく「どうすれば困りごとを減らせるか」を考えることです。環境を変えれば、でこぼこがあること自体は変わらなくても、ミスマッチを軽減することができます。

■困りごとの例
・ケース① 物事にハマりやすく、一度夢中になると途中で切り上げるのが難しい
その後に予定があってもお構いなし。無理に切り上げようとするとかんしゃくにつながる。
作戦! ハマりそうなものを避けて通るか、時間に余裕をもって出かける

・ケース② 自由奔放でじっとしていられず、すぐにどこかへ行こうとする
手を振りほどいて走り出すため、危うく事故にあいそうになることも。
→作戦! 危なくならないように、大人が手や目をはなさない

・ケース③ 外からの刺激に敏感でささいなことでかんしゃくを起こす
外で起こると周りの人に申し訳ない。落ち着かせるのもひと苦労。
→作戦! かんしゃくの原因をひとつずつ見つけておさまるまで取り除く。またはじっと待つ。

困りごとに合わせて、支援の作戦を立てましょう。『発達障害グレーゾーンの子の育て方がわかる本』より

効果のほどは子どもによります。ひとつの作戦にこだわらず、うまくいけば採用し、いまいちなら別の作戦を考えながら、レパートリーを増やしていきましょう。

ハードルを低く設定しよう

困りごとへの対応を考えるときに見落としがちなのが、親から子への要求水準です。そこが高すぎるために生じるミスマッチは、失敗体験につながりやすいのです。

逆にいえば、ハードルを下げるだけで解決できることもあるということです。親には親の思いがあり、ハードルを下げるのは葛藤を伴うかもしれませんが、それがわが子への支援になります。もし、「甘やかしすぎでは?」と周囲の人が難色を示しても、気にすることはありません。成功体験を積みやすい高さのハードルになっているか、見直してみましょう。

意識してハードルを下げ、子どもの「できた」という成功体験を積みあげていくことで発達も促されます。『発達障害グレーゾーンの子の育て方がわかる本』より

でこぼこに見合ったハードル設定にする

具体的なハードル設定を考えるときは、子どもの持つでこぼこがどんなものかを理解し、それに合わせることが大切。時間とともに自然とできるようになることもあれば、何らかのサポートが必要な場合もあります。

テレビやゲームのハードル設定は慎重に

テレビもゲームも、育児においてNGではありません。ただし、ASDの傾向があるなど、もともとのでこぼこによってはハマりやすい子がいるので、付き合い方が大切です。

「好きなときに何時間でも」など、ハードルを何も設けないのはおすすめできません。「テレビは家族でいっしょに見て楽しむ」「ゲームは休日のこの時間帯だけ」「夕飯の支度中は特別にOK」など、慎重に、かつ具体的に決めましょう。

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