発達障害・発達特性のある子の【トイレトレーニング】の方法を「療育の専門家」が解説

#7 トイレトレーニングはどうする?〔言語聴覚士/社会福祉士:原哲也先生からの回答〕

一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表・言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

保護者の心得4ヵ条

すべての画像を見る(全4枚)

トイレトレーニングにあたっては、
① 焦らない
② 怒らない
③ 脅さない
④ 罰しない

ことが大切です。怒る、脅す、罰することは、子どもの成長にとって非常に大切な、子どもの自尊心を傷つけるからです。
忙しい、イライラしている、余裕がない、などの理由で、保護者が①~④ができないのに、トレーニングを始めてもいいことはありません。ほかの子と比べて焦ることはありません。難しいことではありますが、保護者も努力していただいて、ぜひ①~④ができる状態をつくり、そのうえでトイレトレーニングを始めてほしいと思います。

祖父母などトイレトレーニングに協力してもらえる人がいるならば、協力してもらえる日だけやってみるのも一つの方法です。

トレーニングのステップ

STEP1 排泄に関わることばの意味がわかるようにする
排泄に関わることばが理解できるように、乳児期から「おしっこ出たね」「うんち出たね」とことばをかけます。また、「オムツ替えたら気持ちいいね」と言い、清潔にすると気持ちがよいというイメージを作っていきます。

STEP2 トイレに行く、座る
トイレでおまるや補助便座に座ることを習慣づけます。知らないモノに座るのは子どもも嫌がるので、おまるが未使用ならば、事前に居間などに置いて座る機会を作り、おまるに座ることに慣れてもらいましょう。

次は「トイレに行こう」と言って、まずは一日に1~2回、ズボンを穿いたまま、30秒でもいいのでおまるや補助便座に座ってもらい、トイレでおまるや補助便座に座ることに慣れてもらいます。

いつ座らせるかですが、2~3日(できれば1週間)1時間ごとにオムツをチェックして排尿の有無を記録して排尿の確率が高い時間帯を見つけ、その時間帯にトイレに連れていくとよいです。それが難しければ、朝、お昼寝の寝起き、食事後などのタイミングで連れていきましょう。

STEP3 ズボンを脱いで、排尿してみる
ズボンを脱がせ、「おしっこしようか」と声かけをしながら、少しずつ長めに座らせます。タイミングが合えばおまるや補助便座で排尿ができます。

STEP4 成功したらほめる
おまるや補助便座で排泄ができたら、その場でほめます。

あまりおおげさなほめ方をしないようにしましょう。おおげさにほめられると、子どもはうれしい反面、「失敗したらどうしよう」と思ってしまうこともあるからです。うれしくても表現は抑え気味に。たとえば笑顔で「やったね!」と言い、指でOKサインを作るぐらいでちょうどいいかなと思います。

排便も排尿と基本的には同じですが、加えていきむ力やトイレットペーパーの扱いなどの課題があります(後述「発達障害の特性のある子どもの工夫」参照)。

トレーニングにあたっての注意事項

① ひと休みも必要
いわゆる「赤ちゃん返り」やクラス替えや引っ越しなどの環境変化で、トレーニングが進まなくなったり、元に戻ることもあります。そのようなときは、無理せずひと休み、が得策です。

② トレーニングパンツの選択
布パンツの前段階で使うトレーニングパンツには、布製と紙製があります。

柄やキャラクターのものもあるので、子どもに選ばせてもいいでしょう。汚さないように頑張ろうというモチベーションにつながるかもしれません。失敗が多い子どもは紙製にするなど、子どもの状態に合わせて選びます。

次のページへ 発達障害の特性のある子どもの場合の工夫
36 件