発達障害 「困りごと」の背景にある脳の特性
「発達障害」という言葉は、今や広く知られるようになりました。ですが、その特性や中身まで正しく知っているか、と聞かれたらどうでしょう? まずは保護者として知っておきたい、発達障害のポイントをおさえましょう。
子どもたちは成長とともに、さまざまな能力を身につけていきます。話を聞いたり作業をしたりするのに必要な集中力や注意力、読み書きや計算ができるようになる学習力、体を思うように使いこなす運動能力、他人とスムーズにやりとりできるコミュニケーション能力。どの能力も、社会で日常生活を送るのに役立つものです。
ですが中には、生まれつきの脳の特徴によって、それらの能力に凸凹があったり、発達のスピードがゆっくりだったりする人たちがいます。その凸凹が大きかったり、発達スピードが遅いと、学校生活や習い事、友人関係で困りごとが強く出てくる──それが「発達障害」です。
代表的な4つの発達障害の診断名
発達障害は1つの診断名ではありません。代表的な4つの診断があります。
発達障害の子どもたちの特徴は、日常的な行動に出てきます。
■ADHD(注意欠如・多動症)
人の話をすぐ遮ったり、突然高いところによじ登ったり、並んでいる列から飛び出したりする。これらの行動は衝動的で注意力が散漫なADHDの子どもに多く見られ、同年齢の子に比べて幼さが感じられます。
■DCD(発達性協調運動障害)
DCDの子どもは、箸やハサミがうまく使えなかったり、まっすぐ走れなかったり、生活に支障が出るほどの不器用さが目立ちます。
■LD(学習障害)
話すことは普通にできるのに、読み書きや計算など、特定の勉強がとても苦手。これはLDの子どもに表れるサインです。
■ASD(自閉スペクトラム症)
着る服や学校までの道順などに「それ以外ではダメ」という強いこだわりがある、言葉の発達に偏りがあるなどは、ASDの子どもの特徴的な行動です。また受け答えなど「人とのやりとり」が独特のため、お友達ができにくい傾向もあります。
症状が目立つ年齢、特性ごとに違う
これらの4つの疾患は、表れやすい年齢が違うと、古荘先生は説明します。
「ADHDの多動や不注意、ASDの友人関係がうまく行かないなどの特徴は、早いうちから目立ちやすいもの。一方、LDの学習困難やDCDの協調運動の不器用さは『家族との日常生活』では目立ちにくく、『学校生活』での学年が上がるにつれて、困る場面が増えていくものです」
現代では発達障害の認知度が上がり、このような子どもの行動の特徴をきっかけに、発達検査を勧められる機会が増えています。
ですが、行動の特徴だけをチェックしての診断はできないと、古荘先生は注意を促します。なぜでしょうか。
「発達障害は、症状の見極めが難しい。まず、子どもたちの困りごとが生活習慣(寝不足など)から来ていて、発達障害ではないケースがあります。生活面の問題がなく特徴的な症状が出ている場合でも、その表れ方は一人一人違う。いくつかの発達障害が組み合わさっていることや、不安症や境界知能、軽度の知的障害など、別の要因と重なっていることも多いのです」 (古荘先生)
その難しさの中で障害を見極めるポイントは、「子どもがなにで一番困っているか」と「その困りごとがどんな環境や状況でも、持続して起こっているか」。
その上で、生活習慣や別の疾患の可能性にも対応して、検査を進めていきます。このため専門の医師でも半年、1年と経過を見ないと、診断を確定するのが難しいと言われます。
診察予約に奔走…親子で向き合う「長期戦」
そして保護者にとっても、発達障害の子どもの「経過を見続ける」ことは、簡単ではありません。
我が子が困る姿に日々心を痛めながら、小児科や児童精神科を探し、なかなか取れない診察予約に奔走する。やっと取れた予約に合わせて、子どもの学校や習い事の予定を調整する……。
保護者が共働きの場合は、付き添いのために繰り返し、仕事を休まねばならないことも。
発達障害は、診察の段階から長期戦になりかねないもの。それでも専門の医師から症状の見立てや診断について説明を聞くのは、親子にとって大切なことと、古荘先生は言います。
診断の壁を越えて…親子が「救われる」理由
確定の診断に至るまで、時間やお金がかかる。それでも診断を受けることで、子どもにはどんな良い面があるのでしょうか。





















































































